サクラソウの論文が公開されました

教員の北本です。長野県の八ヶ岳山麓に自生しているサクラソウの個体数を調査した論文が公開されました。1900年から2018年にわたる個体数の変遷をまとめた内容です。大学院生時代から取り組んでいるテーマなので、論文という形で残せて感慨深いです。

北本尚子, 本城正憲, 津村義彦, 大澤良(2021)筑波大学八ヶ岳演習林におけるサクラソウの28年間にわたる個体群動態. 保全生態学研究 26:47-60.

花きの実習では、西洋サクラソウ(Primula × polyantha)を栽培していますが、日本にもサクラソウ(Primula sieboldii)は自生しています。江戸時代には、野生のサクラソウをお花見していた記録がありますし、野生集団から400を超える園芸品種も作られています。残念ながら、野生のサクラソウは自生地の開発や過度な採取により、準絶滅機種となっています。私が調査していた八ヶ岳の集団も道路建設が計画されており、予断を許さない状況です。私たちの豊な生活は、土台となる生物多様性があってこそ成り立つものです。日本のサクラソウ自生地がこれ以上失われないことを祈るばかりです。

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