フジツボキプリス幼生のセメント
1) アカフジツボのキプリス幼生



方法:
1)倍率30倍程度の実体顕微鏡下で、両手に電解研磨したタングステン解剖針を持ち、一方の針をキプリス幼生の甲皮開閉部中央部から刺し込み、もう一方を甲皮開閉部前端部付近に刺し込む。セメント腺は前中部腹側部に位置するため、この操作でセメント腺に触れることはない。(図1)。
2)中央部に刺していた針を徐々に後部方向に動かし、ていねいに胸肢を取り除く。この操作で、体腔内に空間をつくる(図2)。
) 前部をとめている針はそのままで、胸肢を除いた針を使って、今度は キプリス中央部の腹側端に存在し、2枚の甲皮の開閉に寄与する蝶番のような役割を果たす筋肉(adductor muscle)を切り裂く。この操作によって、甲皮を開くことが可能となる。
4)同じ針を用いて、徐々に背中の中間部から末端にかけて甲皮を切り裂いていく。
5)前部を固定していたタングステン針を抜き、2枚の甲皮を別々の針で押さえるようにして甲皮を切り裂きながら徐々に広げていく。この操作をゆっくりおこなうと、セメント腺が体腔の外側の見える部分に動いてくる(図3)。
6)最後にセメント管を注意深く切って、セメント腺を単離する(図4)。


セメント腺を単離する方法(ビデオ)
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