夏季研究プロジェクトの成果概要と今後に向けて
2008年11月7日
機械知能システム学科・脳情報工学研究室
准教授 佐藤 和人, 助手 間所 洋和
我々の研究室では,学部3年生を対象として夏季研究プロジェクト「ロボットの視覚システム」を実施した.夏季休暇直前のアナウンスにもかかわらず,4名の定員に対して7名もの応募があった.ハードウェアとソフトウェアに希望者が分かれていたことから,定員を大幅に超過して全員受け入れることにした.お盆休み前までに部品購入等の準備を進め,休み明けから本格的にプロジェクトを開始した.夏季休暇中は集中講義や帰省,アルバイト等があるにもかかわらず,延べ70人日の参加があった.
開発はソフトウェア部隊が先行し,環境の構築から画像情報の取り込み,フィルタリング等の前処理,顔検出処理や物体認識処理等の視覚情報処理と段階的に進めた.また,プラットフォームとして用いた図1に示すロボットを制御するためのコマンドの解析や無線ネットワークによる通信処理の開発も並行して行った.9月以降はハードウェア部隊も参入し,図2に示すオリジナルのロボットを試作開発した.このロボットは,図1に示すロボットと比較して,両眼視が可能となっている点が最大の特徴である.また,モータ制御と動画像の伝送を分けるために無線通信の伝送路は3チャネル確保した.更に,走破性を重視して足回りにはキャタピラを採用した.
図1,ソフトウェア開発用ロボット 図2,試作開発ロボット
夏季休業以降も講義等の合間をぬって開発が継続され,10月26日(日)のオープンキャンパスまでにシーンの中から人物(お客様)を検出して,その人物に近づき記念撮影をするというデモプログラムを作成した.当日は 10時から16時まで研究室を開放し,当プロジェクトの成果発表を兼ねたデモンストレーション(図3)を行い,高校生や親子連れを中心に約30組の見学があった.高校生には動画像処理やプログラミングに興味を持ってもらうことができた.また,ロボットが撮影した写真を見学記念に配布したことから,親子連れの方々に喜んでもらうことができた.
図3,オープンキャンパス当日
当プロジェクトはオープンキャンパスをもって終了したが, 7名のメンバのうち5名は本学大学院への進学を希望しており,各研究室でロボットの製作や動画像処理等の研究を続けている.ロボット技術は日本のお家芸であり得意としてきた技術分野であるが,これまでのロボットは工場等の限られた環境で動作し人間の作業を代替するものでしかなかった.今後は,ペットロボットやホームロボットに代表されるように,人と接し対話(コミュニケーション)するロボットが求められている.当研究室では,視覚情報処理技術の応用として,このような知能型ロボットの実現に向けた研究開発に引き続き取り組む予定である.また,来夏以降も本プロジェクトを継続し,「ロボットの視覚システム」の更なる発展形態と,多くの学生に少しでも早い時期に最先端の研究を体得してもらいたいと考えている.
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--------------------人間支援メカトロニクス研究グループ 脳情報工学研究室--------------------