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 学生自主研究制度は,新入生または2年生の学生が研究テーマを決定し,グループを組織し,計画を立てて研究を実施するという,本学の特色ともいうべき取り組みのひとつです。学生自主研究に対して,指導教員が必要なアドバイスを行い,実験スペースや機材,そして研究資金を交付して,学生の研究をバックアップします。この制度の主役は,学生自身であり,入学前から興味を持っているテーマやこれから自分が取り組もうとする分野などに積極的に取り組むことができます。ここでは,本研究グループでサポートした学生自主研究の取り組み事例にご紹介します。

apu_ico2.png下の研究テーマをクリックすると研究概要がご覧になれます。

link-ico.png テンセグリティ構造に関する研究

 テンセグリティ構造は,圧縮材と引張材で構成される三次元ピン接合構造のうち,圧縮材が互いに接続せずに引張力との自己釣り合いで自立する構造システムのことである。テンセグリティ構造は,引張材にワイヤーなどの細い材料を選択することで圧縮材が空中に浮いているかのような視覚効果を演出することができ,現代ではアートモニュメントや玩具として用いられている。
 本自主研究では,この特殊な構造についての理解を深める事を目的に,実際にテンセグリティ構造物の力学モデルの作成を行う。力学モデル作成は,小型模型による形状の検討から始まり,中規模の模型で作成手順や部材寸法などの確認を行い,実験により接合部形状の強度を計測するなどの過程を経て行われた。最終的には,部材長さ最長4.0mの大型力学モデルの作成に成功した。

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テンセグリティ構造力学モデル作成の流れ

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link-ico.png 地震に耐える住宅の構造

 地震で被災しない建物を造るための技術について,資料調査と振動台実験などを行った.振動台実験では,建物(振動模型)が地震によって振動する現象などを体験として学び,現在の耐震技術について,特に木造住宅における筋違の重要性や,免震・制振技術の原理を理解することを目的とした。
 現在の木造住宅の耐震性能がどのように評価されているのかを理解するため,まず自ら想定する2階建て戸建て住宅の構造計算を行った.地震力を評価し,それに耐えうる壁量(筋違量)を計算した.机上で計算した想定住宅を基本に,振動模型を製作し,筋違,免震・制振について振動台実験を行い,比較検討を行った。

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link-ico.png 姫路城の耐震構造考察

 現在姫路城では耐震補強を含めた「平成の大改修」を行っている。そのため,改修中の今しか見る事ができない補強工事風景を実際に見て,補強の仕方や姫路城の耐震構造,また歴史や構造の特徴などを調べる絶好の機会であると考えられる。本自主研究は,改修中の姫路城に着目し,実地調査や文献調査によりその構造的な特徴を把握することを目的とした。
 姫路城は平面プラン中央付近に東西二か所の最上階床まで通る心柱を有しており,構造要素としての壁を有しないラーメン構造である。四方の側柱を2層分の通し柱とすることで地震力を各階へと分散させ,地震に対する強度を高めている。本自主研究では,数値解析により地震時における建物の変形を求め,姫路城における通し柱と心柱の効果について検討した。

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link-ico.png シザースメカニズムの研究

Fig1.png 平面に畳み込まれた構造物を展開して広がりのある構造空間を作り上げる手法は,展開構造物と名付けられている。展開構造物は様々な形式があり,屏風や風呂敷のように平面を折り曲げて畳むもの,望遠鏡のように筒を入れ子状にしたもの,マジックハンドのように回転可能な二本の部材をハサミ状に接続したもの等が挙げられる。
 自主研究では,材を格子状に組むことで折りたたむことができ,移動が容易で組み立てが簡単な構造体であるシザースメカニズムに注目した。この形式は,モンゴルの伝統的移動式住居の「ゲル」に用いられており,実際にゲルを製作することでシザースメカニズムについての理解を深めた。

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link-ico.png 多様な建築構造技術の研究

Fig1.png  体育館やターミナルビルのような大規模な建築物には,広大な室内空間を支えるための多種多様な建築構造技術が使われている。しかし,建物が完成してしまうと見えなくなる場合が多い事から,こうした大空間がどのように支えられているのかは,一見ではなかなか分からない場合が多い。
 自主研究では,そうした構造技術についての理解を深める事を目的に,秋田近辺を含む国内の大規模建築物に使われている様々な構造技術の調査を行った。調査方法は,文献の調査や実建物の見学,構造模型の作製などである。 調査の結果,建物が出来るまでの過程を把握すると共に,建築構造の幅の広さ,構造形式の変化や進歩を認識する事ができた。

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link-ico.png 建物周辺の積雪に関する研究

 秋田県は多雪地域に属しており,冬季の降雪量は数メートルに及ぶ地域もある。雪国に住む人々にとって,冬季の雪かきは避けては通れない問題である。特に家の玄関先や駐車場の雪かきには悩まされていることが多い。雪かきの労力を最小限に抑えるために建物の周囲にどのように雪が積もるかを実験によって検討した。
Fig1.png 実験は,手づくりの風洞実験装置を作成して行った。建物に見立てた直方体木片を風洞実験内に設置し,雪に見立てた発泡スチロール粉体をその上に撒き,雪の飛散する様子を観察した。実験の結果,建物の辺の長さ及び角度が雪の積もり方に影響を及ぼしていることが分かった。

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link-ico.png 木造住宅耐震性向上に関する研究

 既存木造住宅の耐震性の向上を目指して、耐震診断法や耐震補強法について学び,長期使用を見据えた既存木造住宅の補強案を提案することを目標とした。まず秋田県建築事務所協会が開催する木造住宅の耐震診断講習会に参加し,一般耐震診断法を勉強した。2階建ての木造住宅を想定して,自分たちで診断計算を行うことで,耐震診断法について習得度を深め,さらに対象建物の構造模型を制作し,地震波加振実験を行い,建物の揺れ方や壊れ方を見ることで,木造住宅の構造形式や補強方法についてより理解を深めた。本研究をとおして,耐震診断法や耐震補強の基礎的な知識は,広く一般の人に知られるべきと感じた。

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link-ico.png 建築物の構造とその特徴

トラスFig1.png 大空間建築物などで主に用いられている建築構法の理解を深めるため,トラス構造に着目した。アルミニウム材でトラス構造の模型を製作して,載荷実験をとおして,トラス材断面の違いなどによる耐力への影響や問題点などを検討した。また実験結果と構造力学で学ぶ節点法による手計算結果との比較を行い,机上で学ぶ力と変形の関係を実際に実験で目で見ることで,構造力学の理解を深めることができた。またラチス材の座屈現象についても理解を深めることができ、今後より深く構造力学や構造学を学ぶための動機付けとすることができた。

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link-ico.png 様々な建築構造の種類の考察に関する研究

 建築物に用いられる構造形式には様々なものがある。自主研究では研究メンバー各人がそれぞれ興味を持った構造形式について文献等で調査して,意見交換などを行い,各構造形式の特徴や,どのように適用されているかを学んだ。
 調査した構造形式を大きく「フォルム構造システム」,「ベクトル構造システム」,「高層建築の構造」,「木造建築の構造」に分類して,整理することができた。構造考Fig1.pngまた調べた構造形式を採用している実際の建物を現地調査し,その空間に身を置くことで,各構造形式が実現する空間のスケール感を学ぶとともに,今後の建築構造学を学ぶよい動機付けとなった。

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apu_ico2.png自主研究の紹介リーフレットがダウンロードできます。
※オープンキャンパス等で公開したポスターをA4版PDFファイルにしたものです。

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