研究内容

IRカメラによる歴史的建築物の構造解析

概要

日本には、多くの歴史的木造建築物が存在するが、これらの建築物は長い月日を経て、経年劣化します。そのために、定期的な点検と補修作業が不可欠です。しかし、これを行うために必要な設計図は、利用できないか存在しないことが多く、そのため建築構造の予備調査を行う必要があります。構造調査技術としては、これらの建物は非常に貴重なものであるため、非破壊、かつ速く、そして、低コストで行えることが重要です。 

従来の構造調査技術としては、X線映像技術が歴史的な木の構造を破壊しない検査のために、広く使われました。この技術は、内部構造の詳細なイメージを明らかにすることも可能です。しかし、大きな器材、時間のかかる写真処理、人間の健康に有害な放射線の使用と写真撮影のためのプロの技術者の必要性などの欠点もあります。

そこで、歴史的建築物の構造解析を速くて安価な非破壊調査技術として、赤外線サーモグラフィーが使われています。実際には、壁面で最も効果的で、太陽輻射によって広範囲にわたって均一な温度変化を示すことができます。しかしこれまでは複雑な装飾と小さな温度変化がしばしばある木の建物の構造調査に不適当であると考えられてきました。

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実験方法

本研究では、我々は強制的暖房を用いた赤外線サーモグラフィーを木の家の屋内の区域の構造調査のために適用しました。太陽輻射とは異なり、暖房装置での強制的暖房は、材料の温度起伏を引き起こす傾向があり、わずかな温度変化による複雑な構造のような状況の下でこの方法を適用可能ではないかと考えました。我々は、オリジナルの赤外線のイメージとそのガウスぼかしイメージの間の絶対差を計算することによって、温度起伏を除く画像処理アルゴリズムを使用して、歴史的建築物の構造解析を起こっています。

 

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    実験場所:土田家住宅                 実験装置の設置方法

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 強制暖房時の釘のIRイメージの現れ方