intelligent framework

フレームワークとは何か

建設中のエンパイア・ステートビルの写真 われわれが何かを考える・判断をするためには、
前提となる価値基準や理論、仮定が必要である。
これらは複雑なセットになっていて、
その全貌を把握しがたい。たとえば
物理学・化学・生物学・数学の知識と応用力、
日常的な常識、宗教や社会の要求、個人的な嗜好、
直感や第六感、思い込み等々。
全ての基準や仮定に科学的な裏づけがあるわけではない。

しかし価値基準や理論、仮定はそれぞれ関連しあっていて、
(もし効果的に機能しているのなら)お互いに矛盾しない。
こうした要素がつくる体系を知的なフレームワークという。

思考の前提条件の集まりを、建物や機械の骨組みに喩えている。
しっかりしていないと自重で崩壊するところも建築物に似ている。

データを比較する、得た結果を評価する、結果から結論を導く、
といった作業のひとつひとつにフレームワークは使われている
(意識する・しないにかかわらず)。

たとえばマイクロアレイのデータを比較するときには

  • データのどの性質をどう使って標準化し、
  • 標準化したデータをどう比較し、
  • 得た結果をどう評価するのか

をそれぞれフレームワークが決めることになる。

さらに解析の結果、たとえばhsp70のひとつのクローンに注目したとして、
その遺伝子の発現変化を評価するためには、
蓄積していたデータとの比較が必要になる。
ここでもフレームワークが必要になる
(2倍というのはどれくらい大きい違いなのか?)。

こうした作業に必要なフレームワークは簡素なものでいいはずだ。
たいして複雑な作業ではないからだ。

たとえば「どの現象を研究対象にするのか」はずっと複雑。

優劣はある。ただ、評価するのが難しいのだけだ。
たとえば客観性(得た知見を多くの同業者と共有するために必要)、
現実に沿っていること(データをよく説明すること)、
仮定が妥当なものであること等々によって判断される。

トランスクリプトームを理解するときにもフレームワークは必要である。

SI単位系が使えると理想的だ(いわゆる絶対定量)。
mRNAは翻訳の鋳型であり、
たぶん翻訳速度は(同一の鋳型なら)鋳型の濃度に比例する。
だから、本来なら、知りたい量はモル濃度である。だが それは困難
そこで、なにかSI単位系ではないフレームワークを採用する必要がある。

客観的で、できればSI単位系と互換性があるようなものを。