秋田県立大学 システム科学技術学部 建築環境システム学科

建築材料学講座 -Building Materials Laboratory-

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CONTENTS

研究紹介

【建築材料の劣化とその改修・補強技術に関する研究】
建築物が恒久的に力学的安定を保持のするために、迅速かつ適切な補修の判断を定量的に診断する手法の構築が求められている。建築の長寿命化のための“建築部材を極力傷つけない非・微破壊による簡便な部材劣化診断方法を用いて、木造や鉄筋コンクリート造などの構造物の完全非破壊による劣化診断を目的とし、材料強度の推定について検討を行っている。  

【スギを活用した耐火軸組構法技術の開発】
公共建築等の中大規模建築においては耐火構造の実現が大きな課題である。本研究グループでは、スギ集成材を用い、木材を表しで使用できる燃え止まり型の木質耐火部材の開発に取り組み平成28年度には燃え止まり層に難燃薬剤処理したスギ合板と単板積層材を用いた部材において1時間耐火構造の大臣認定を取得している。 現在は、木質耐火部材利用促進のためのハイブリッド構造における部材の構成方法、接合方法の検討・検証を行っている。

【縦ログ構法における構造・環境性能の評価】
仮設から一般住宅に転用可能な木造応急仮設住宅として、縦ログ構法を用いた応急仮設モデル住宅を平成28年3月に建設した。縦ログ構法では、縦ログによるパネルが構造材のみならず、断熱材、仕上げ材の役割を果たしており、これによって施工の合理性、コストの削減が期待できる。
令和元年度は、建設された応急仮設モデル住宅を用いて熱損失係数の実測試験を行い、そのデータから縦ログ構法建物の熱容量の影響や吸放湿性能について検討を行なっている。

【一般流通製材を用いたトラス架構の開発】
平成22年に制定された公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律により、中大規模建築の普及促進が期待されるが、広いスパンを実現する大断面集成材はコストが高く鉄骨造などに対して競合できない。このため低コストで供給可能な一般流通製材を用いたトラス梁の開発に取り組んでいる。

【高耐久型コンクリート材料の開発】
社会的インフラに多用されるコンクリートは、その過酷な利用環境故に高い耐久性が求められることは周知の事実であるが、複合的な劣化作用やひび割れによる劣化促進など対応すべき課題は多い。そこでコンクリート部材の高耐久化を目的として、 高機能化した押出成形板を用いた耐久被覆材の開発に関する研究を行っている。

【廃棄物を利用したコンクリート2次製品の耐久性向上に関する研究】
土木構造物などの国内インフラ整備に利用されるコンクリート2次製品は、リサイクル促進のため廃棄物を利用することがほぼ義務化しており、様々な廃棄物をコンクリート材料に適用する試みが成されている。特に秋田県は良質なフライアッシュが生産される地域であり、これらの有効利用が課題である。 現在は4種フライアッシュに着目し、問題とされる施工性への影響を改善するため押出成形技術を用いた製造法について検討、およびUHP-HFRCCへ適用を目指し、様々なパラメータを用いて検討を行っている。