makoba.Lab@APU

幹細胞の分子生物学

“細胞運命決定機構の分子基盤を解明する”

研究テーマ1:

 マウス初期胚・マウスES細胞で発現している,本研究室で発見した新規遺伝子群(EGAM1ホメオタンパク質群)による胚発生の調節機構に関する研究,および発生工学・再生医療への応用に関する研究

研究テーマ2:

iPS細胞の根源的な成立要因に関する研究
動物遺伝資源の活用を目指したウシES細胞・ウシiPS細胞の作出に関する研究

研究テーマ3:

 ウシES細胞・ウシiPS細胞の特性(精子・卵子への分化誘導、培養肉の生成等)に関する研究

研究テーマ4:

 ES細胞・iPS細胞の細胞増殖を促進したり,動物胚の流産防止を目指した,遺伝子組換え細胞増殖因子に
 関する研究


 幹細胞の分子生物学:細胞運命決定機構の分子基盤を解明する

 動物分子工学研究室では,幹細胞の細胞増殖と細胞分化の制御機構を解明すること目指し,特に哺乳動物の初期発生期に注目しています。そこで,具体的な研究材料としてマウス初期胚を用いています。この分野の研究は生命科学の中心課題でもあることから,世界中で多くの研究者の「興味のまと」になっています。
 
研究成果は発生生物学の新たな知見として重要であるばかりではなく,癌や老化の細胞生物学・再生医療・体細胞クローン動物の作出技術などへの応用が期待されます。
 研究を進める上では,生物化学・分子生物学・細胞生物学・遺伝子工学・細胞工学の最新手法を取り入れ,「みちのく秋田」に居ながらにして最先端の科学知識を得られるように配慮しています。

 現在,哺乳動物の初期発生において重要であると考えられる複数の遺伝子を独自に単離し,機能解析をすすめています。そのためマウス初期胚のみならず,初期胚から単離することができる3種の幹細胞(胚性幹細胞(ES細胞)・胎盤幹細胞(TS細胞)・卵黄嚢幹細胞(XEN細胞))とiPS細胞を用い,細胞培養および遺伝子導入実験をおこなっています。

 3台あるCO2インキュベーターは今日もフル稼働中。さらに組換えDNA実験では大腸菌の大量培養もこなします。

 したがって,動物分子工学研究室では「細胞運命決定機構の分子基盤の解明」をとおして基礎生物学である発生生物学をまなび,癌や老化の細胞生物学・再生医療・動物生産の先端技術などの「応用生命科学」をまなび,胚操作・細胞培養・タンパク質精製・組換えDNA実験・遺伝子導入などのテクニックを身につけます。

具体的には。。。

 マウス初期胚は受精後2.5〜3日ほどで胎仔になる細胞系列(内部細胞塊)と胎盤になる細胞系列(栄養外胚葉)に分化し始めます。この段階は哺乳動物における最初の細胞分化であると考えられますがその詳細な調節機構は未解明です。下図では,この現象を「個性の発揮」として示しています。

 マウス初期胚の発生段階特異的発現遺伝子ライブラリー(cDNAライブラリー,本研究室作製)から,「哺乳動物における最初の細胞分化」をつかさどる遺伝子群を探しだし,その遺伝子がもつ具体的な機能を調べています。
 現在は,転写因子に絞り込んで研究を遂行していますが,初期胚における機能が解明されていない細胞増殖因子の遺伝子(複数)も同定しており,解析に着手する適期をうかがっています。

 また,得られた成果を産業に活かすため,特に「研究テーマ2・3・4」では秋田県畜産試験場や企業と共同研究(マウスを使った基礎研究の成果をウシに応用する)をおこなっています。

Back