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細胞の分化・アポトーシスってなに?

1個の受精卵からスタートし,60兆個(2013年,約37兆個という説が提唱されました。)の細胞で構成されるヒトが完成されるまで,ただ単純に細胞増殖をしているわけではありません。

発生過程で様々な臓器(手・足・脳・肝臓・筋肉など)に変化すること,これを「分化」と呼びます。

分化は発生過程のみならず,ヒトが完成してからも起こります。
例えば,ヒトの体内には様々な血球細胞がありますが(赤血球・白血球など),おおもとは「造血幹細胞」とよばれる,骨髄中に存在する「1種類のみの細胞」です。体内で血球が足りなくなったとき,造血幹細胞が赤血球や白血球に分化して補充されます。

同時に,発生過程では「かたち造り(形態形成)」がおこなわれます。
例えば,発生過程の初期ではヒトの手にも「みずかき」がありますが,途中でなくなってしまいます。
この時,みずかき部分を構成する細胞は「細胞死」をおこし,消えることが判っています。
このような細胞死のことを「アポトーシス」と呼びます。

完成したヒトの体内でも,アポトーシスは見られます。
細胞増殖するときには遺伝子も複製されます。ところがしばしば遺伝子複製にミスが生じてしまい,これを放置すれば癌化の原因にもなりかねません。
哺乳動物細胞はこのミスを自分で発見し,修復ができないと判断すれば「アポトーシス」をすることにより,自ら細胞死をして癌化を防ぎます。

「細胞増殖を抑制する遺伝子」は「細胞分化を誘導する遺伝子」や「アポトーシスを誘導する遺伝子」としての機能も併せもつことが数多く報告されています。そこで本研究室では,「細胞の分化・アポトーシス」は重要な研究テーマとして位置づけています。

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