森林管理の理論と実際
（経営システム工学科セミナー特別企画）

秋田スギやブナに代表されるように秋田県は国内有数の林業県として知られています．本研究会は森林管理に関する新しい方向性を探求する目的で，最適化や統計科学の理論と森林管理に対する現場の膨大な知見の融合を目指し，分野を超えた学際領域的研究の場として開催します．第1回研究会では，持続可能な森林管理技術の開発や地域循環型木材利用システムの構築など，森林管理のさまざまな話題について情報交換や知識共有をはかります．

最終更新；2010/08/19(Thu.)
問い合わせ；

日時；2010/08/30（月）；13:00-17:00
場所；秋田県立大学本荘キャンパス　AVホール(K101)，詳しいアクセス方法はこちら
共催；秋田県立大学システム科学技術学部経営システム工学科，FORMATH研究会，若手研究者によるIE研究

13:00-13:05；オープニング
13:05-13:55；猪股市郎＠（有）猪股林業
13:55-14:45；吉本敦＠統計数理研究所
14:55-15:10；休憩時間
15:10-16:00；新里隆＠秋田県立大学システム科学技術学部
16:00-16:50；高田克彦＠秋田県立大学木材高度加工研究所
16:50-17:00；クロージング

13:00-13:05；オープニング；嶋崎善章＠秋田県立大学システム科学技術学部経営システム工学科
13:05-13:55

タイトル

民有林間伐における間伐木の選定条件のあり方

講演者

猪股市郎＠（有）猪股林業

発表概要

本講演は以下の内容で発表を行う．

林家の間伐要望に沿った間伐方法と健全な方法の理論上の間伐木の違い，林家の森林に対する考え方(資産，現金化，木材価格，後継者問題など)
1. 資産として優良木を残す事を前提とした選木
2. 山林のどの方向を向いている山であるかを見極める
3. 間伐後の自然災害に対してのそなえた選木
4. 木材代金として回収したい間伐木の選定
5. 後継者がいるかどうかによっての間伐の仕方選択
素材生産費を勘案しての間伐木の選定
1. 単位面積あたりの伐採量の把握
2. 素材生産コストを第一に考えた場合
3. 間伐率と残存本数及び立木材積
土地条件による間伐率及び間伐木の選定
1. 地理級と成長量-50年生での材積格差は2倍ぐらいである-(上686中454下293)
2. 土地条件による成長量の差を鑑みた間伐本数の調整
3. 品質条件黒心のスギ材
間伐補助金と間伐木の関係
1. どのような施行によってどれだけの補助金がもらえるか
2. 森林所有者に対しての受給額＋素材代金の金額見積
3. 8令級以上の立木と補助金の関係と素材生産のコスト

キーワード

発表関連資料・参考文献

13:55-14:45

タイトル: A New Dynamic Programming Algorithm For Optimal Forest Stand Management with Two-Directional Look Ahead Search
講演者: 吉本敦＠統計数理研究所数理・推論研究系計算数理グループ
発表概要: Within the optimization framework of forest stand management, a new dynamic programming algorithm is proposed to search for an optimal thinning regime. While the ordinary algorithm for dynamic programming searches for an optimal thinning regime in one direction, i.e., forward or backward recursion, the proposed algorithm applies two-directional look ahead search. Constructing a dynamic programming model with the proposed algorithm for sugi (Cryptomeria japonica) forest stands in the Kyushu region, Japan, we investigate an effect of the proposed algorithm under the current thinning subsidy policy in Japan. A forest stand growth simulator used in the proposed dynamic programming model is based on the stand density management diagram. Our results show that when there is heavy dependency of the future growth on the previous thinning activities, the proposed algorithm outperforms PATH and MS-PATH algorithms.
キーワード: Thinning subsidy, forest management, growth model, dynamic programming, calculus of variation
発表関連資料・参考文献

14:45-15:10；休憩時間
15:10-16:00

タイトル: 最適間伐計画の数理モデル--ミクロからのアプローチ--
講演者: 新里隆＠秋田県立大学システム科学技術学部経営システム工学科，（共同研究者；嶋崎善章，柴田秀祐＠秋田県立大）
発表概要: 我々はレクリエーションや災害防止などの地域環境という観点と，木材の供給源や水源涵養などの経済価値という観点で森林の価値をとらえ，その価値を高めるための最適間伐計画を提案する．先行研究では動的計画法を用いて，最適な間伐時期や間伐量に関する知見を提供しているが，具体的な間伐木の位置について言及されていない．そこで我々は実際の樹木の生長過程を模倣することのできる生長モデルによる最適な間伐計画を提案する．
キーワード: 間伐，生長モデル，推定モデル，多目的最適化問題
発表関連資料・参考文献: ○吉本敦，栁原宏和，能本美穂，最適林分経営モデルによる間伐計画最適化と炭素吸収量，FORMATH 2004，p71-91，(2004)

16:00-16:50

タイトル: 垂直連携型木材生産システム-雇用の創出と地方再生に向けた強い森林産業の構築-
講演者: 高田克彦＠秋田県立大学木材高度加工研究所，（共同研究者；武藤信義＠地方産業経済研究所）
発表概要: 森林は人間が必要としている資源を森林の持つ多面的機能の一つである物質生産機能によって生み出す．林業はこの資源需要を満たす為に存在しているものであり，森林が生きた生物のシステムであることを認識した上で効率性と継続性に重点を置いた合目的的な森林管理が求められている．一方，木材は世界的規模の市場をもつ商品であり，製材，ラミナ，ボード，チップ，ペレットなどの各種の木質系材料が経済原則に従って世界中を移動している．本発表では多岐にわたる世界的規模の木材需要と不安定な日本の木材供給というアンバランスを共通認識として，日本の森林産業再生に向けて林業と林産業が経済的合理性によって結びついた垂直連携型木材生産システムを提案するとともにその構築への課題について論じる．垂直連携型木材生産システムは経済と環境を両立せしめるシステムであり，併せて雇用の創出と地方再生の切り札になり得るものである．
キーワード: 森林資源，グローバリゼーション，経済的合理性，垂直連携，地方再生
発表関連資料・参考文献: ○武藤信義，「『エートス』と『合理性』－社会科学方法論を援用した企業家経営の主体的基盤の再構築―」，日本ベンチャー学会誌 NO.13，p11-15，2009
○武藤信義，「日本木材産業再構築による地方活性化―環境共生型産業モデルの形成を目ざして―」，日本ベンチャー学会第12回全国大会発表，2009年11月15日

16:50-17:00；クロージング

森林管理の理論と実際 （経営システム工学科セミナー特別企画）

森林管理の理論と実際
（経営システム工学科セミナー特別企画）