デカルト著「精神指導の規則」(岩波文庫、p10)より
大多数の人が、人間の習俗、植物の特性、星の運動、金属の変質、その他同様な学問の対象を、きわめて細心に究明し、しかも他方ほとんど誰も、良識(bona mens)すなわちかの普遍的知恵について考えないということは、実に驚くべきことと私には思われる。というのは、知恵以外のすべてのものは、それ自身によってよりもむしろこの知恵に寄与するところあるがゆえに、尊ぶべきものなのだからである。