フジツボキプリス幼生のセメント

 
キプリス幼生は“付着”に特化した幼生です。アカフジツボ(Megabalanus rosa)の場合、長径800μmほどの小さな幼生で、くりくりとした1対の複眼は良く動き、6対の胸肢を使って思いのほか速く遊泳します。

付着場所を探索する際に示す行動は、探索行動と呼ばれます。前端部から突き出た2本の第一触覚を手のように使って“仲間の匂い”を感じ取り、最適な付着場所を探しまわります(ムービー)。顕微鏡下で必死に最適な場所を探しているキプリス幼生を観察していると、どこかユーモラスで、愛おしく感じます。

キプリス幼生は付着場所を決定すると、接着剤を放出して基盤に固着します。この現象こそがキプリス幼生の付着、または単にフジツボの付着と呼ばれる現象です。付着後、フジツボはその場で変態脱皮して幼体となり、親へと成長していきます(詳しくは生活環を参照)。

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1) アカフジツボキプリス幼生
キプリス幼生の探索行動
キプリス幼生ビデオ