教員の自己紹介とメッセージ

木村寛(数理アナリシス講座 教授)

現在,どのような研究・教育をしていますか?

新たな問題解決(最適化)の手法やその解を,数学的アプローチから開発する研究をしています。数学による理論の構築や,理論をもとに応用を考える研究が対象です。主には,応用数学,最適化理論に関する研究や,複数人がいる状況で,お互いが共に納得する最適な解(戦略)を見つけるゲーム理論についての研究を行っております。具体的には,非協力n人ゲームの均衡解に関する研究や,株式投資の最適化手法の研究,某市内におけるバス路線に対して最短路問題などの最適なバス運行ルートを構築する研究,また列車遅延モデルにおける総遅延時間最小化を行う最適政策の導出などを,研究室の学生と共に行っております。

ゼミ風景

研究・教育をするようになった経緯を教えてください。

数学は以前から好きであったため,将来は解析学や,代数学,幾何学などの純粋数学を専攻したいと考えておりました。しかし大学で最適化理論や凸解析学などの応用数学と出会い,これらの分野は数学の理論から現代社会への応用にまで,幅広く研究を行っていることを知り,数学を世の中に役立てるような研究にも興味がありましたので,これをきっかけとして最適化の分野を専攻することになりました。大学院の修士課程に進学して研究を進めるうちに,益々,最適化理論やゲーム理論の研究に興味をもち,将来は研究者になることを夢見て,その後,博士課程への進学を決意しました。

研究・教育は社会にどのように役立てられると期待していますか?

最適化理論やゲーム理論は数学の理論をもとにその概念を構築し,生産計画の問題や,道路ネットワーク問題,輸送問題,最適な株式投資の問題,社会の意思決定問題など,現代の社会のなかの最適化を扱う場面の多くで実際に役立てられています。教育面については現在本学科で,数理計画,最適化モデル,意思決定分析,数理統計Ⅱ,応用確率統計特論を担当し,最適化や統計に関わ講義を行っております。学生への研究・教育を通して,問題の本質を抽出する数理的思考力や,論理的思考力,問題解決能力を養成したいと思っております。

研究・教育の面白さ,喜びは何ですか?

やはり,数学などの数理手法を用いて,現代社会の問題をその理論から応用も含めて研究できることでしょうか。定理などを考え証明を与え,また応用へと研究を発展させることにも面白みがあります。教育では最適化などの分野に興味を持ってくれる学生が一人でも多く出てくれること,そして3年生からのゼミ指導を通して,学生が数理的能力や問題解決能力をどんどん身につけ,自らで問題に取り組み,興味をもって卒業研究や修士論文に取り組んでいる姿を見ることは,とても嬉しく感じます。

学生or受験生に一言お願いします

現代の数学の大事な部分には、高校数学で学習する部分が基本となっているところが 多くあります。また大学などでより専門的な数学を学ぶと、数学が世の中でこんなに役に立っているんだなあと実感できます。