研究トピック
1)タイトル:(1)ツクネイモの増収に及ぼす要因の解明
2)要約: 
 ツクネイモは,ナガイモなどのヤマノイモの一種であり,秋田県大館市にあるJAあきた北に日本有数の産地がある.しかも,実質的にJA当たりの規模では日本一と言われている.しかし,近年は収量減少が問題となっているため,その改善に取り組んだ結果,新芋重 / 種芋重比で表した肥大率は,小さい種芋の方で高い肥大率を示すが,それは優れた受光態勢に強く影響していることが明らかとなった
3)具体的なデータ

  •  新芋の発育は,最終の11月掘り取りでは,同じ種芋重で比較した場合,いずれの種芋重でも10,15および20㎝と株間が広くなるほど大きい傾向が認められた.同じ株間で比較した場合,5,10と15g区と種芋が大きくなるほどで大きい傾向が認められた(第3図).本手法で求められる200g程度の新芋重が得られる種芋重と株間の組み合わせは,種芋重10gで株間20cm,種芋重20gでは株間15または20cmであった.また,種芋重と株間が新芋重に及ぼす重回帰式による評価から新芋重に対して,株間より種芋の大きさによる影響が大きいことが明らかになった.さらに,肥大率を示す指標として新芋重/種芋重比で示すと,小さい種芋ほど高い値を示す傾向が認められた.その要因を解析するため,枝葉の最大繁茂期である9月の堀り取り時に,葉重(乾物重)と葉面積の回帰式Y=11.1+231.4X(R2=0.9616,P <0.001)を求め,葉重(乾物重)から葉面積を部位別に算出し,部位別の積算葉面積を比較した場合,5g区では,下部から上部にかけて小さくなる傾向が認められたが,それ以外ではその反対の逆三角形になる傾向が認められ,特に,慣行の50g区で顕著であった.その結果,相対日射量(%)は,10㎝区より15㎝区で高い値を示したが,20㎝区は10㎝区と同程度であった.いずれの株間でも,基部から150㎝が最も大きかったが,低くなるほど小さかった.しかし,5g区では,30㎝まで20%程度の高い値を維持した(第4図).このような優れた受光態勢が小さい種芋ほど高い新芋重/種芋重比を示す要因と考えられた.
     以上より,200g程度の新芋が生産できる有効な種芋重と株間の関係は,10g区で株間20cm,20g区では株間15または20cmであることが示された.また,高い肥大率を示す要因は優れた受光体制に起因することも明らかとなった.