【学長メッセージ】学生のみなさんへ

 学長の小林です。

 ようやく前期日程の授業が終わりました。前期試験の手応えは如何でしたか。今年は新型コロナウィルスの影響で入学式が中止、そして授業のスタートがゴールデンウィーク開けで、しかも遠隔授業となり、学生の皆さんには大変な苦労をおかけしました。授業スタートの遅れを取り戻すために、土日以外の休日はすべて授業に充てました。そんな過酷なスケジュールにもかかわらず、皆さんはしっかりとついてきてくれました。皆さんの態度に感謝すると共に改めて本学で学ぶ皆さんを誇りに思います。

 さて、ようやく待ちに待った夏休みになります。前期授業の緊張感や疲労をここでしっかり取って下さい。私たちはオンとオフをきちんと区別し、上手に使い分けることによって次への備えを作ることが出来ます。しかし残念ながら夏休み期間は例年に比べて半分以下です。従来の長い夏休みですと、いろいろなことが出来ますが、今回はそういうわけにはいきません。どのように過ごせば良いのでしょうか。

 まずは、オフのモードに入る準備が必要です。睡眠を充分取ってみるとか、音楽や読書を楽しむ、あるいはジョギングなどの手軽な運動を行う等、生活スタイルを意識的に変えてみることが必要です。ただ期間は一日か二日程度で切り上げるのが良いと思います。ここで大事なことは、すべきことを最初に決め、やり遂げることです。ここを明確にしておかないと、だらだら過ごすことになり抜け出せなくなります。

 翌日からは本格的な夏休みです。たぶんあれもしたいこれもしたいと色々な事が頭を駆け巡ると思います。やりたい事を整理し、優先順位を付けましょう。大概の人はやりたい事の半分も出来ません。従ってこの優先順位が大事です。これだけはやり遂げたいと思うものを先に持ってきます。またやるべき事について、どのくらいの期間が必要か見積もらなければなりません。大まかなスケジュールを立て、なるべく守る事です。そして守るためにはどうすべきかも考えておくと良いでしょう。さあどうでしょう。夏休みの過ごし方のイメージが出来ましたか。これらはすべて私の反省からの提案です。

 ところで皆さんへのお願いがあります。【学長メッセージ】「学生のみなさんへ(7月13日付)」でお話しさせていただきましたが、相変わらずコロナ感染が終息していない中で何に気をつけて行動すべきか、もう一度頭の中で整理して欲しいと思います。以前にも述べた通り、考えるべきことは次の行動基準です。
① 行動する場合の基本的な考え方は、事前に感染リスクを見積もり、それが自分にとって最善の行動なのかどうかを見定めることです。つまり行動することのメリットとデメリット(感染リスク)を比較し、行動するかどうかを判断します。
② 次に行動する場合には、すでに言われている感染拡大防止対策をきちんと守ることです。

 現在、感染が身の回りに迫っている状況を考えると、②は現実問題としてかなり重要です。感染の第二波のまっただ中という報道がありますが、第一波と比べて緊急事態宣言は出されていません。その中ですでにピークが過ぎたとの専門家意見も出ています。これはどういう事でしょうか。具体的な対応策が無いのに第二波は収まるのでしょうか。これも報道ですが、私たちが感染について学習し、感染しないあるいは感染させないよう、ひとり一人が対策を実施しているからだと言われています。本学においても皆さんは大変まじめに感染防止に努めています。ワクチンがまだ確実に使えない状況で、経済活動と感染拡大防止の両立を図るためには、この対策しかありません。このことをしっかり自分に言い聞かせ夏休みを過ごしていただきたいと思います。

 もう一点、この新型コロナウィルスは、誰もが感染しうる感染症だということを認識し、身近に感染者が出ても、本人や家族、一緒に働く職場の人達に対して誹謗・中傷を行うことは絶対にしないで下さい。【学長メッセージ】「学生のみなさんへ(5月12日付)」でも書きましたが、日本赤十字社によると、新型コロナウィルス感染症には3つの顔があると言います。第1は病気そのもの、第2は不安をかき立てること、そして第3の顔は、嫌悪・偏見・差別の感情を芽生えさせることです。不安や恐れは人間が生き延びようとする本能を刺激します。そしてウィルス感染者やそれらに関わる人を日常生活から遠ざけたり、差別するなどの行動を引き起こします。その結果、人と人との信頼関係や社会の繋がりを壊していきます。私たちの心理を突いた巧妙な仕掛けがウィルスには刻み込まれています。このような戦略には絶対屈しないことを再度確認して下さい。

 私のメッセージと並行して教育本部から出されている「夏期休業期間中の過ごし方について」に関する注意事項を熟読し、きちんと守って下さい。短い夏休みだからこそ工夫し、思い出に残る夏休みにして下さい。そして後期授業に備えましょう。元気でまたお目にかかりましょう。
 
令和2年9月2日
秋田県立大学 学長 小林 淳一