保護者の皆様へ(6月19日)

 秋田県立大学学長の小林淳一でございます。

 現在、新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、講義はすべて遠隔方式で行っています。遠隔授業に至った背景と私が行った遠隔授業の様子をお知らせします。

 本学では、学生の健康、安全を最優先に、感染状況に応じ学生教育に関する行動様式を定めています。具体的には、本学独自の運営基準「新型コロナウィルス感染拡大防止のための運営基準」に基づき、感染状況から行動基準レベルを決定し、そこに国の法律に基づく方針と秋田県独自の方針を取り入れ、様々な活動の制限を詳細に定めています。現在は、緊急事態宣言やそれに伴う様々な自粛が解除されたことにより、行動基準レベルを1段下げ、行動制限を緩和しています。具体的には、講義形式の授業は遠隔方式を続けますが、実験・実習・演習・実技科目については、学内設備の使用や野外実習を含んだ構成になっていますので、必要最小限のものについて、6 月から授業形態を整えながら対面方式(登校)を取り入れています。ただし、実施にあたっては、感染防止対策を充分行う措置を講じています。学生にとって、実際の機器に触れ、それらを使って演習、実習を行うことは、講義だけでは学ぶことが出来ない経験、感覚をつかむことができ、将来必要とされる能力が養成されます。また今までできなかった、友達作りもできるようになりました。しかし、まだ感染の第2波、第3波が起こる可能性が高いので、慎重に状況を見守っています。

 話は変わりますが、私は毎年新入生全員を対象とした学長特別講義を行っています。今年も学部や学科単位で6回行いました。受講した学生からのレポートを読ませていただきました。今回は遠隔授業ですので、受講生の反応を見ながら話すことができず、どうだったかなと不安がありましたが、学生の皆さんしっかり受講してくれました。本学には、manabaというクラウド型の教育支援システムがあり、講義シラバス、講義資料、学生と教員のコミュニケーション、レポート提出等がネットを介してやりとりができます。今回の遠隔授業では大変役立ちました。講義資料をあらかじめmanabaに入れておくと学生は直接自宅にあるパソコンで見ることができ、ほとんど対面授業と変わらない環境で受講できます。ただ、先生への質問については、対面授業のようにはいかないので、講義終了後manabaや他のコミュニケーションツールを使って行います。

 私の特別講義のタイトルは、「大学での学び」です。大学では様々な講義を受けますが、何故そのような講義が必要なのか、個々の科目を受講するだけではその答えは分かりません。そこで、本講義では、私の長い企業経験から、社会に出て必要とされる能力を学生に示し、学ぶ姿勢とそれぞれの科目との繋がりを見せることにしています。つまり、社会に出てもっとも必要なことは、自分の持っている価値であり、大学では自分に必要な価値とは何かを考え、その価値を磨くチャンスだと、説いています。講義ではどんな価値が必要か具体例を示しながら分かりやすく説明しています。たとえば、基礎学力はもちろん、様々な資格、コミュニケーション力、実行力、人とうまく付き合う人間力等です。学生からのレポートを読むと、私が言いたかったことを皆さんそれぞれ理解して、とても前向きな感想を書いてくれました。一番嬉しかった感想は、秋田県立大学に入って良かった、これからの大学生活での目標が見えた、というものです。一方、私の講義を聴いて今までの自分を実によく分析し、反省しています。その中で一番多いのが、高校までは積極的ではなく、自分の置かれた環境にただ従ってしまったというものでした。自分の力はこんなものだからと半ばあきらめ、自分に言い聞かせ、そこからはみ出そうとはしなかったと言っています。でもそのことに気づき、そこを反省し、本学で心機一転積極的に頑張ろうとしています。このような反応を見ると、講義をして良かったとつくづく思います。ただここで注意しなければならないことがあります。それは、これからの第一歩です。つまりそのままで何もしない状態が続くことがよくあります。こうなるとせっかく気持ちを高揚させたものが元に戻ってしまいます。学生には、小さな事で良いから、目標を見つけクリアする努力を繰り返すべきであると言っています。1年生の早い段階でスタートする事が最も大事で、ここを乗り越えれば、必ず大きく成長するはずです。この先つまずくことはたくさんあると思いますが、あまり気にせず前に向かって進むこと、そうすることによって少しずつ困難を乗り越えるコツも分かると伝えています。

 本学の学生は、伸びると社会から評価されていて、本学の教育の大きな特徴になっています。私から見ても良い意味まじめで、努力します。ここを最大限伸ばしてやろうと教職員一同考えています。これからもご支援よろしくお願い申し上げます。

令和2年6月19日
秋田県立大学 学長 小林 淳一