written by Prof. Akira SATOH

on 1st of January, 2012
2011年-現在 間の研究成果



1. 格子ボルツマン法による平行平板間の磁性粒子の挙動に検討



非一様磁場下での平行平板間の磁性粒子の挙動を格子ボルツ
マン法で検討した。粘度修正法によりブラウン運動を誘起させ、
磁性粒子間の多体流体力学的な相互作用を考慮した先駆的な
シミュレーションである。

両側に磁極を配置し、上流から磁性粒子が流入し、粒子に働く
磁気力により凝集しながら下流に流れ去る。







粒子間磁気力が磁場の影響よりも小さい場合

磁極にトラップされた粒子から鎖状クラスタが
形成される(粒子が磁極付近トラップされると右
側の2体相関関数に高いピークが現れる)。




粒子間磁気力と磁場の影響が同程度の場合

磁極にトラップされた粒子から鎖状クラスタが
形成されることもあり、ネックレス形状のクラ
スタを形成し、下流に流れ去る場合もある。



粒子間磁気力が圧倒的に大きい場合

ネックレス状や鎖状のクラスタを形成し、磁極
にトラップされることなしに、下流に流れ去る。








磁極まわりに磁性粒子がトラップされるので、
それらの粒子が障害となり、磁性粒子は壁
面付近を除いた中央付近を流れることにな
る。













2.  格子ボルツマン法におけるブラウン運動誘起のための粘度修正法の構築


磁性粒子サスペンションを対象に、粘度修正法に関
して、詳細に検討した。

左側の図は磁場が非常に弱い場合、右側の図は磁
場が非常に強い場合のスナップショットである。

上側の図は粒子間力がある程度支配的な場合、
下側の図は粒子間磁気力は非常に強い場合であ
る。


磁場が弱い場合のネットワーク状クラスタや磁場が
強い場合の鎖状クラスタの形成など、モンテカルロ
法の結果と非常に良く一致する。

従って、ブラウン運動誘起法としての粘度修正法は、
磁性サスペンションに対して非常に有効であることを
明らかにした。










凝集構造の内部構造を定量的に検討するために、磁
場方向の2体相関関数に着目し、その第1ピーク値と第
2ピーク値をモンテカルロ法と比較することにより、粘度
修正法の有効性を明らかにした。


2体相関関数のピーク値はモンテカルロ法の結果と非
常に良く一致する。


























粘度修正法において、修正粘度は粒子間磁気力、磁場の強さ、粒子の体積分率にはほぼ依存せず、
従って、凝集現象を伴う磁性粒子サスペンションにも有効であることを明らかにした。ある程度粗い格
子系まで、粘度修正法は適用可能である。







3. スピン回転ブラウンを考慮した配向分布関する基礎方程式構築の理論解析


単純せん断流中での扁平ヘマタイト粒子の配向分布の理論を構築するための、粒
子モデルならびにその座標系。。










磁性扁平粒子の配向分
布は一点ピーク型の分布
となり、せん断流の強さ
ならびに印加磁場の強さ
とともに、非常に鋭いピ
ークを有するようになる。




左側に行くほど弱いせん
断流で、下側に行くほど
強い印加磁場となる。

















印加磁場が強くなるほど、大きな見かけ粘度が
得られる。

せん断流が弱いほど、大きな粘度増加が得ら
れる。














粒子アスペクト比(rp値)が大きいほど、大きな
粘度増加の効果が得られる。

















並進の拡散係数と印加磁場の強さとの関係。


















4. 棒状ヘマタイト粒子分散系の逆磁気粘性効果に及ぼすスピン回転ブラウン運動の影響に関する研究







棒状ヘマタイト粒子の配向分布関数の基礎方程式を構築するため
の粒子モデルと座標系。












配向分布関数は磁場が弱い場合には一点ピーク型の配向分布の形
状となるが、磁場の強さが増すほど、線状のピーク値を有する尾根
型状の分布となる。


(a) 磁場が非常に弱い場合

一点ピーク型配向分布









(b) 磁場がある程度強い場合











(c) 磁場が非常に強い場合

尾根型ピーク型の配向分布





スピン回転ブラウン運動は粒子の配向分布の形状には大きく影響を及ぼさない。






粘度が増加すると粘度が負になり最小値を
与える、逆磁気粘性効果を与える。


スピン回転ブラウン運動は、それを考慮しない
理論と定性的にほぼ一致する。一方、定量的
には、逆磁気粘性効果を減少させる効果を与
える。











アスペクト比が大きいほど、逆磁気粘性効果が
顕著に現れるようになる。














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END.