金属材料の引張試験

1. はじめに
 我々の周囲にある機械や構造体などは,使用中に壊れないように設計製作・構造設計を行わなければならない.例えば,構造体(物体)に荷重を加えると物体は変形し,物体内には応力とひずみを生じる.しかし,荷重を取り去ったとき直ちに応力とひずみが消滅し,完全に元の状態に戻るような変形を「弾性変形」という.これに対して荷重を除去した後も永久的なひずみが残るような変形を「塑性変形」という.機械や構造体に使われる材料には,応力がある一定値を越えると塑性変形を起こす材料が多いので,使用に当たっては生じる応力が弾性限度内になるようにしなければならない.
つまり,使用する材料の機械的性質(mechanical property)を理解し,効率よく設計する必要がある.機械的性質とは,縦弾性係数,降伏応力,引張強さ,破断応力,伸び,絞り,疲れ強さ,衝撃値,硬度等のことをいう.

2. 目 的
 材料の基本的な機械的性質を理解し,その試験方法を習得する.試験にはJIS10号丸棒試験片を用い,万能試験機(島津製作所:UH-500KNA)により材料の荷重−伸び線図(又は公称応力−公称ひずみ線図)を求める.また,差動トランス式伸び計(島津製作所:SG型)によりチャック間の変位と試験片平行部の標点間の変位関係を求め,真応力−ひずみ関係を算出し,荷重,公称応力,真応力および応力ひずみ線図の意味を理解する.

3. 試験方法
実験はJIS(日本工業規格)に準じて行うことが望ましい.ここではJIS Z 2241に記載されている「金属材料引張試験方法」に準じて実験を行う.試験片はJIS Z 2201「金属材料引張試験片」に準じた10号試験片である.
・機械構造用炭素鋼材(S45C)
起重機・生産機械・自動車・エンジン部品などに非常に多く使われている.熱処理としては焼きならし・焼入れ・焼戻し(調質)あるいは表面焼入れ(高周波焼入・火炎焼入)・浸炭肌焼きなどが施されている.炭素鋼材のうちで一番多く使われるのがS45C(炭素C:0.45%含有)である.
・アルミニウム・マグネシウム系(A5056)
材料特性の概要として,耐食性に優れ,切削加工による表面仕上り.陽極酸化処理性とその染色性が良いことがあげられる.用途例として,カメラ鏡胴,通信機器部品,ファスナーがある.

4. 実験手順
4.1 試験片の断面積測定
4.2 試験片の取り付け
4.3 荷重・ストローク ゼロ点補正
4.4 プロッタの背面にある電源「POWER」をいれる
4.5 パソコンを立ち上げる
4.4 引張試験
4.5 試験片の取り外し
4.6 破断面の観察と破断後の試験片の断面積測定

5. 課 題
レコーダーで記録した「荷重−伸び線図」から「公称応力−ひずみ」を求め表を作成し,「公称応力−ひずみ線図」を作成する.

@ 「公称応力−ひずみ線図」から,弾性係数(ヤング率),降伏応力,引張強さ,破断応力と各応力に対応するひずみを求める.
A 極限強さ(引張強さ)までの「真応力」を求め課題@の表に追加作成し,「真応力−ひずみ線図」をグラフ化する.また,破断時の真応力を求めグラフ中に書き込む.
B 考察:公称応力と真応力の関係,特に引張強さの違いを数値(%)で考察する.また,設計の際にはこの違いをどのように考慮しなければいけないか記述する.
C 感想:自由に書く

 課題@〜Cまで「S45C」と「アルミニウム」に関してそれぞれ求める.
ただし,アルミニウムは課題@で降伏応力の代わりに「耐力」を求め,耐力について説明または考察を行うこと.


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* MISE: Machine Intelligence and Systems Engineeing
** SST: Systems Science and Technology