秋田県立大学だより 〜 ようこそ本荘キャンパスへ 〜
本荘市市政だよりNo.18 (平成16年12月20日発行) より

研究紹介(18)

電子情報システム学科 光・電子デバイス工学講座 能勢敏明教授


 私どもの研究室では、現在液晶を中心とする有機材料に注目し、光デバイスや電子デバイスへの新しい応用を目指した研究を行っています。電子デバイスの基本となるトランジスタのほとんどはシリコンを中心とする無機半導体材料で作られており、半導体無くして現在のエレクトロニクスは語れません。しかし最近、様々な新しい電子材料が開発される中、有機物の利用も大きな注目を浴びるようになってきました。私どもは以前から生体組織とも関連が深い"液晶材料"に興味を持ってその応用に取り組んできましたが、液晶のディスプレイ応用が非常に大きな成功を遂げているため、一般に狭い範囲の利用価値しか認知されていないものと思われます。しかし、その優れた性質は光学的性質だけでなく、機械的性質や電気的性質などにも利用価値があり、様々な分野で応用が検討されています。中でも私どもは、高速無線ネットワーク、車載レーダー等で最近期待を集めている超高周波帯(ミリ波〜THz波)の電磁波を制御するデバイスへ液晶材料を利用する事を検討しています。なぜなら、小型・軽量で低消費電力となる液晶ディスプレイの特徴は、他の応用分野でも同様に期待できるからです。

 このような研究室の専門分野に関連した研究活動の一端を通して、"卒業研究"などの大学ならではの学生教育にも取り組んでおります。卒業研究の場合、"答え"が1つに決まっている訳ではなく、取り組む学生の個性や能力に応じた優劣付けがたい多数の"答え"があり得ます。したがって、各学生のそれまでの成績や性格(印象)とは異なる予想外の成果が出てきたときに教育者としての大きな慶びを感じている次第です。


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