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2017-03-09

ジョブシャドウイングレポート(小玉醸造株式会社)

 

 

 平成29年2月10日(金)、小玉醸造株式会社(潟上市飯田川飯塚字飯塚34-1)において、ジョブシャドウイングを実施しました。募集定員は4名でしたが、同社の御厚意により6名を受け入れていただきました。参加者は生物資源科学部応用生物科学科の2年生3名、1年生2名、生物生産科学科の1年生1名です。

 

 小玉醸造株式会社は、秋田を代表する味噌・醤油と清酒の醸造元です。明治12年、味噌・醤油の醸造業として創業し、「ヤマキウ」の秋田味噌は県内一の生産量を誇ります。また、大正2年には、酒造業も始め、「清酒太平山」は全国清酒鑑評会などで数多くの金賞を受賞しており、秋田県を代表する蔵元の一つです。


 今回は、経営者講話、会社概要の説明、酒造りの「酒造部」と味噌・醤油製造の「食品部」それぞれの工場見学、研究開発業務の説明等のプログラムで実施しました。大学の講義や実験で醸造を学んでいる学生もいて、参加した学生は興味深く製造工場を観察するとともに、社長や説明者に積極的に質問していました。

 

 創業当時の面影を残し、社の歴史を感じさせる事務所前で、長谷川常務取締役総務部長の出迎えを受けました。酒造りは早朝の作業ですが、蒸し米など一部の作業をまだやっているかもしれないとのことで、予定を変更し、清酒醸造蔵「みずほ蔵」に直行しました。残念ながら今朝の作業は全て終了していましたが、仕込みタンクや醪(もろみ)の自動圧搾機のほか、普段、一般の人は見ることができない麹室や酒母室なども見せていただきながら、清酒の製造工程を学びました。

 

 次に事務所2階の会議室で経営者講話をしていただきました。小玉真一郎代表取締役社長は、同社5代目の社長で、秋田県酒蔵組合会長も務めています。自身の経歴の紹介の後、醸造業の経営について講話がありました。清酒・味噌・醤油製造業の秋田県における業界規模や事業者数や、「人口減少への対応」、「技術の継承」、「海外市場」といった課題などについて説明がありました。技術の継承では、これまでの「見て、まねして、覚えて」というやり方だけでなく科学的な根拠も示して伝えることが必要であること、海外進出では、人口減少という課題克服のためシンガポール、香港を中心に輸出に取り組んでいることなどの話がありました。また、学生からの「若い人が働きたいと思うような業界にするには?」との質問に、最近、特定名称酒の消費量が増加しているのは若い人に愛飲家が増えているから分析している。美味しいお酒を造り、それを飲んだ若い人の中から酒造りへのあこがれを持つ人が出てくることを期待しているとの答えがありました

 

 次に、小玉総務課長から「会社の沿革・概要・業務内容」について説明していただきました。もともと農業を営んでいた小玉家が、杉板や醤油、酒の行商を行うようになり、その後、醤油製造に乗りだしたものの、明治時代の半ばに天候不順による製品腐敗で廃業の危機に瀕したこと、大正2年に始めた酒造りでは当初「金剛」という銘柄で売り出したが、既に新潟に同じ銘柄の酒があり、税務署の職員の助言で「太平山」としたことなどの話がありました。昼食時には、同社が創業110周年を記念して製作したDVDを観て、酒造りの作業や同社が生み出した秋田流生酛(きもと)などについて学びました。

 

 午後は、同社の製品を販売している売店で甘酒などを試飲させていただいた後、酒蔵を改造したフォトギャラリー「ブルーホール」を見学しました。このギャラリーは潟上市出身の水中写真家・中村征夫さんの写真を展示しており、かつての酒蔵が芸術文化の発信の場として活用されていました。「酒造部」では、午前中には見学しなかった、貯蔵庫や瓶詰めの作業の様子、出荷のためのプラットホームなどを観させていただきました。

 次に、味噌・醤油を製造する「食品部」の工場を訪問しましたが、「酒造部」とは町道を挟んだ別の敷地にあり、それぞれの菌が混ざるのを防いでいるそうです。味噌は、県内の消費量の40%のシェアがあり、同社では、清酒に次ぐ売上となっています。味噌蔵では、1個で5トンの味噌を仕込むステンレス製の桶が並んでいる様子などを見学し、醤油蔵では、130年前から使われている秋田杉の大きな仕込み桶を観て、参加学生は、長い歴史と伝統に感心している様子でした。

 

 会議室に戻り、菊池製造課長から研究開発業務について説明をしていただきました。菊池課長は「食品部」(味噌・醤油部門)の担当ですが、準備していただいた資料により味噌と醤油の歴史・製造工程に加えて、清酒の製造工程についても説明していただきました。菊池課長は味噌・醤油造りは専門分野ではないとのことですが、専門以外でも、やってみれば学ぶことが多く、楽しいものだとの話がありました。


 同社には、本学の卒業生(10期院生)が1名就職しています。毎日、社内を忙しく動き回っているそうで、工場内のどこかで会えることを期待していましたが、残念ながら、当日は、会うことができませんでした。

 

◎ジョブシャドウイング参加の感想は?
・2度目の参加だったが、今回も参加してよかった。自分が何に興味を持ち、大学でどのような勉強をしたいのかを探すヒントになった。
・普段は見られない麹室や酒母室の中を見られたことはとても貴重な体験だった。企業の方々の話を聞いたり、疑問にも丁寧に返答していただき、とても勉強になった。
・自社の造りや歴史の説明に加え、酒、味噌、醤油一つ一つについて大学の講義のように詳しく、楽しく学ぶことができた。社会人になってから大事なことも教えていただいた。身近にこのような歴史が深く、楽しくて、美味しい食品を創っている会社があることを改めて実感した。
・普段口にしている味噌や醤油の製造過程を知ることができ、醸造の分野に興味や関心を持つことができた。今後の大学での講義を聴く際に大いに役立つと思う。
・もともと食品の品質管理に興味や関心を持っていたが、実際に企業の方々から話を聞き、知見を広げることができたと感じた。これからの生活の中で「今できること」を少しずつ明確にしながら将来の方向性を定めていきたい。

 

◎この経験を今後の学習や学生生活にどう活かしたいと思いますか?
・まだ将来のやりたいことが決まっておらず、いろいろな体験をすることが大切だと感じているので、今回の経験は意義深かった。
・学生生活では、一つのものにとらわれすぎずに、多くのことに関心を持って知見を広げたい。
・職場では、実践すること、経験することが大事だという話を聞き、机に向かう勉強だけでなく、ジョブシャドウイングなどにも積極的に参加したいと思った。
・自分の持っている知識にとらわれていたが、これからは、専門分野に縛られすぎず、様々なことに挑戦しようと思った。今のうちにもっと多く企業を見学したり、資格取得したりして自分の可能性を広げていきたい。
・醸造にはあまり興味を持てなかったが、昔から続く酒蔵を見られた事は大変いい経験になった。これからもこのような企画に参加して、自分が一番わくわくするものを探したい。

 

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 【酒造部での観察】

 【経営者講話】

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 【貯蔵庫での観察】

 【食品部の観察】

 
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