秋田県立大学 地域連携・研究推進センターHOME研究者総覧
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氏名 渡邊 肇
フリガナ ワタナベ ハジメ
学部 生物資源科学部
学科 生物生産科学科
職名 教授
学位 農学博士
Eメール hwatanabe
生年月日

経歴

1992年3月 東北大学農学部農学科 卒業
1994年3月 東北大学大学院農学研究科農学専攻修士課程修了
1996年4月 日本学術振興会特別研究員(DC 2)(〜1997年3月)
1997年3月 東北大学大学院農学研究科農学専攻博士課程修了
1997年4月 東北大学農学部附属農場助手(栽培植物環境科学
      講座併任)採用
2001年1月 文部科学省 在外研究員(米国ミシガン州立大学)
2007年4月 東北大学大学院農学研究科複合生態フィールド教育
      研究センター助教(栽培植物環境科学分野併任)採用
2008年1月 新潟大学准教授自然科学系採用
2014年4月 新潟大学大学院自然科学研究科後期課程○合(Dマル合)と判定
2017年4月 秋田県立大学生物資源科学部教授 採用
2017年4月 新潟大学農学部非常勤講師

受賞

An Award of Excellence for Outstanding Student Paper in Plant Growth Regulator Research. 3rd Joint Meeting of Plant Growth Regulator Society of America-Japanese Society for Chemical Regulation of Plants 
第14回 井上研究奨励賞
第 5回 PGRSA/JSCR合同会議派遣補助金賞
第10回 日本作物学会研究奨励賞
第 3回 東北大学大学院農学研究科長研究奨励賞
第 8回 日本作物学会論文賞
第10回 日本作物学会論文賞

専門分野

作物学(作物形態学,作物生理・生態学,栽培学)

最近の研究テーマと内容

はじめに   
 現在,地球規模で環境破壊や食料問題が深刻化し,日本農業においても農業従事者の高齢化・後継者不足,耕作放棄地の増加などの問題があります.こうした状況の中で,環境に及ぼす負荷を軽減し,省力・低コストで安定多収穫・高品質を示す,作物栽培技術を開発するための基礎的および応用的研究を行っています.秋田県は,水稲を代表とした,我が国でも重要な食料基地です.また,豊富な水資源,肥沃な土壌,夏季の温暖・多日照などの自然条件に恵まれていると同時に,各種交通手段が発達し,東京などの大消費地にもアクセス可能で,作物栽培にとって,とても好適な立地条件にあります.このような恵まれた環境条件で,将来の秋田県,日本や世界の食料問題と環境問題を考えながら,研究を行って行きたいと考えています.

研究テーマ
 3つの大きなテーマをもとに,その中に複数のサブテーマがあります.研究例の一部を紹介します.

1.水稲と畑作物の省力・低コスト,環境保全型栽培に関する研究
 古来,「一寸一石」というように,田畑を深く耕すことが,作物生産にとって重要と考えられていました.近年では,新しい農業機械や肥料の開発がすすみ,耕さなくてもよい,不耕起栽培が可能となっています.不耕起栽培では,耕起の省略による省力化ばかりでなく,化石燃料から排出される二酸化炭素やメタンガス(共に温室効果ガス)の排出抑制効果があります.その他,生物多様性保全の効果もあるとされています.
 また,稲作では,田植えを行う移植栽培が主流ですが,水田に直接,播種する直播栽培もあります.私たちは,これら,不耕起栽培と直播栽培において収量と品質の高位安定化をめざしています.その他,食品残渣などの有機性資源を活用した循環型農業や,減農薬・減化学肥料栽培,有機栽培に関する研究を,実験室と実際の生産現場を拠点に行っています.

2.水稲と畑作物の形態,生理・生態的特性の解析と生産性向上に関する研究
 作物の栽培は多様な環境条件下で行われるため,さまざまな課題がでてきます.これらの課題を解決するには,作物の形態や生理・生態的特性を理解することがとても重要です.例えば,イネの直播栽培では,播種後に,酸素不足,土壌還元,水分不足などの多様な環境ストレスをうけます.私たちは,直播栽培において環境ストレスを克服し,初期生育を促進するために,酸素条件や土壌条件などに対する環境応答の点から検討しています.具体的には,幼植物の生育に関するメカニズムを植物ホルモンに対する反応性や成長・発育に関係する遺伝子発現の点から検討しています.

3.新規有用作物の探索と高品質安定生産技術に関する研究
(水田生態系を活用した転作作物,水性作物の有効利用)
 日本では,約3割をこえる水田が減反田や耕作放棄水田となっています.水田はコメを作るのみならず,洪水を防止するなど多くの機能をもっています.そのため,水田生態系を保全することはとても重要です.また,バイオマスの活用は,二酸化炭素の排出抑制による地球温暖化や,資源の有効利用による持続的社会の形成に貢献し,地域の活性化や雇用の拡大につながるなど,作物生産の新しい場面を開拓すると考えられます.私たちは水田生態系を維持する作物について,水性作物であるマコモタケ,バイオマス作物としては,茎に糖を蓄積し,乾物生産能力が極めて高いスイートソルガムに着目し,これらの作物の省力・低コストで環境保全的な栽培技術について検討しています.その他,秋田県や日本の農業環境に適する,新しい作物を探索し,これらの作物に有効な栽培法を検討しています.

その他の課題
 世界の食料生産や作物生産が行われる環境にも目を向ける必要があると考えています.東南アジアなどの洪水常襲地域で栽培されている,深水稲や浮稲について現地の生産者や研究者と共同で研究を行っています.

研究手法
 作物学のカバーする領域はとても広いです.研究の遂行や得られた結果を,実際の栽培現場に適用するには,多様な知識,技術,経験が必要です.作物学に加え,作物学の周辺分野にも着目することが必要で,国内外の政治,経済,政策,生産者や消費者のニーズも考慮しながら研究する必要があります.このような作物学の性格を理解しながら,フィールドで作物の生育や収量の調査を行い,実験室内では作物の形態観察,体内成分や酵素などの分析,遺伝子の発現解析,土壌の成分分析などを行います.研究課題の進捗状況や到達目標に応じて,新しい考え方や実験手法を随時,取り入れていくようにしています.

【研究紹介はこちら】

技術相談に応じられる分野

イネの栽培管理(育苗,水管理,肥培管理など),イネの生育診断,イネの直播栽培,作物の環境保全型栽培,作物に対する農業資材の施用効果(植物成長調整物質,肥料,土壌改良資材,有機質資材,未利用資源など),バイオマスの利活用

最近の招待・特別・基調講演題名

1.Watanabe H. 2007. Ethylene-induced Gene from Floating Rice and its Regulatory Role in Internode Elongation Meijo Symposium on Floating Rice 2007. Floating Rice - as a Tool in the 21st Century Agricultural System. Meijo University.
2.渡邊 肇・安達祐介 2009.メタン発酵消化液の全量基肥施用が水稲の生育・収量に及ぼす影響(予報).バイオガスシステムのテーブルリサーチ 2009.(平成20年度大型融合プロジェクト研究支援)北海道大学,新潟大学,日本車輌.
3.藤井昭裕・安達祐介・渡邊 肇 2010.新潟県の重粘質土壌におけるマコモ栽培の試み.第6回全国マコモサミットinながおか川口2010 ジザニア・水性作物研究会 講演要旨集 18-19頁.
4.渡邊 肇 2011.冠水条件におけるイネの応答と適応.「アフリカ低湿地における低投入稲作技術開発」プロジェクト会議.国際農林水産業研究センター

主な特許

主な研究論文

原著論文(査読有り)
1.高橋 清・渡邊肇・星川清親 1995.イネの中茎および低位節間の伸長性の品種間差異と地理的分布.日本作物学会紀事 64: 66-72.
2.渡邊肇・高橋 清 1995.イネ栽培種(Oryza sativa L.)とその祖先種における中茎および低位節間の伸長性.日本作物学会紀事 64: 500-508.
3.渡邊肇・高橋 清 1995. 「MCタイプ」のイネ品種Basmati 217における幼植物の形態的解析.日本作物学会紀事 64: 581-586.
4.Watanabe, H. and K. Takahashi 1997. Effects of plant growth regulators on the appearance of MC type rice seedlings. Jpn. J. Crop Sci. 66: 318-324.
5.Watanabe, H. and K. Takahashi 1997. Morphological observation of the rice cultivar with six coleoptilar node roots. Jpn. J. Crop Sci. 66: 507-508.
6.Watanabe H. and K. Takahashi 1997. Effect of abscisic acid, fusicoccin and potassium on growth and morphogenesis of leaves and internode in dark-grown rice seedlings. Plant Growth Regulation 21: 109-114.
7.Watanabe, H. and K. Takahashi 1998. Relationship between endogenous abscisic acid level and the appearance of " MC type " rice seedlings. Plant Production Science 1: 240-241.
8. Watanabe, H. and K.Takahashi 1999. Effects of abscisic acid and its related compounds on rice seedling growth. Plant Growth Regulation 28: 5-8.
9.三枝正彦・小野沢圭介・渡邊肇・渋谷暁一 2000.多孔質ケイ酸カルシウム水和物の施用が芝生のケイ酸栄養に及ぼす影響.日本草地学会誌45: 411-415.
10.三枝正彦・小野沢圭介・渡邊肇・渋谷暁一 2000.多孔質ケイ酸カルシウム水和物の施用が芝生の擦り切れ抵抗性,耐虫性,耐病性に及ぼす影響.日本草地学会誌45: 416-420.
11. Watanabe, H., K. Takahashi and M. Saigusa 2001. Morphological and anatomical effects of abscisic acid (ABA) and fluridone (FLU) on the growth of rice mesocotyl Plant Growth Regulation 34: 273-275.
12. Hirao, A., K. Nemoto, H. Watanabe and K. Takahashi 2001 Patterns of internode elongation in rice seedlings. Plant Production Science. 4: 88-89.
13. Watanabe, H., Y. Kusagaya and M. Saigusa 2002. Environmental factors affecting germination of Apple of Peru (Nicandra physalodes (L.) Gaertn). Weed Science 50: 152-156.
14. Watanabe, H, M. Saigusa, S. Hase, T. Hayakawa and S. Satoh. 2004. Cloning of a cDNA encoding an ETR2-like protein (Os-ERL1) from deep water rice (Oryza sativa L.) and increase in its mRNA level by submergence, ethylene and gibberellin treatments. Journal of Experimental Botany 55: 1145-1148.
15. Prokaj, E., H. Watanabe, Y. Suyama and M. Saigusa 2004. Identification of rabbiteye blueberry cultivars (Vaccinium ashei Reade) and analysis of their genetic relationship using amplified fragment length polymorphisms (AFLPs). International Journal of Horticultural Science. 10: 27-30.
16. 渡邊肇・遊佐良一・三枝正彦 2005.中山間地の水稲不耕起移植栽培におけるイボクサ(Murdannia keisak (Hassk.) hand.-Mazz)の発生と防除法.東北の雑草5: 20-23. 
17.渡邊肇・日高秀俊・三枝正彦・大江真道・渋谷暁一2006.中山間地の深水栽培における水稲の生育と収量.日本作物学会紀事75: 257-263.
18. 渡邊肇・日高秀俊・三枝正彦・大江真道・渋谷暁一 2006. 中山間地における肥効調節型肥料を用いた水稲の育苗箱全量施肥不耕起深水栽培.日本作物学会紀事75: 264-272.
19. Watanabe, H., M. Saigusa, and S. Morita 2006. Identification of Casparian bands in the mesocotyl and lower internodes of rice (Oryza sativa L.) seedlings using fluorescence microscopy. Plant Production Science 9: 390-394.
20.渡邊肇・渋谷暁一・三枝正彦 2006. グリホサート耐性水稲を用いた全量基肥施肥不耕起直播栽培における雑草防除.東北の雑草6:9-13.
21.Watanabe, H., S. Hase and M, Saigusa 2007. Effects of the combined applications of ethephon and gibberellin on growth of rice (Oryza sativa L.) seedlings.Plant Production Science 10: 468-472.
22.Watanabe, H., H. Kende, T. Hayakawa and M, Saigusa 2008. Cloning of a cytochrome P450 gene induced by ethylene treatment in deepwater rice (Oryza sativa L.). Plant Production Science 11: 125-127.
23.平内央紀・渡邊肇・三枝正彦 2008.酸性化多孔質ケイ酸カルシウム水和物のpHが水稲苗 (Oryza sativa L.) の生育に及ぼす影響 日本作物学会紀事77:253-258.
24.渡邊肇・佐々木倫太郎・関口道・鈴木和美・三枝正彦 2009. 異なる栽培法における欠株が水稲の生育・収量に及ぼす影響 日本作物学会紀事 78:95-99.
25.千葉雅大・松村修・寺尾富夫・高橋能彦・渡邊肇 2009.深水栽培による高品質米生産技術−深水栽培が水稲の生育と米粒外観品質に及ぼす影響−日本作物学会紀事 78:455-464.
26.千葉雅大・松村修・寺尾富夫・高橋能彦・渡邊肇 2011.深水栽培による米粒外観品質向上要因の解析.日本作物学会紀事 80: 13-20.
27.千葉雅大・松村修・寺尾富夫・高橋能彦・渡邊肇 2011.深水栽培による高品質米生産技術―深水処理の水深と期間および植付深が水稲の収量・品質に及ぼす影響―日本作物学会紀事 80: 312-325.
28.千葉雅大・松村 修・渡邊肇・高橋能彦・寺尾富夫 2013.水稲深水栽培は茎のソース機能を高めることにより2次枝梗籾が増加しても白未熟粒の発生を抑える.日本作物学会紀事82: 223−232.
29.Matsushita, K., S. Iida, O. Ideta, T. Ishii, H. Fujimoto, H. Watanabe and Y. Takahashi 2013. Effect of low planting density on the spikelet number in Tachisuzuka, a rice (Oryza sativa L.) cultivar with a short panicle for whole crop silage use. Grassland Science 59: 124–127.
30. Adachi, Y., K. Kimura, M. Saigusa, Y. Takahashi, T. Oyama and H. Watanabe 2013. Growth promotion of rice (Oryza sativa L.) seedlings by application of L-β-phenyllactic acid. Asian Journal of Plant Science 12: 87-91.
31. Matsushita,K., T. Ishii, O. Ideta, S. Iida, Y. Sunohara, H. Maeda, and H. Watanabe 2014. Yield and lodging resistance of ‘Tachiayaka’, a novel rice cultivar with short panicles for whole-crop silage. Plant Production Science 17: 202-206.
32. Watanabe, H., M. Saigusa, Y. Adachi, K. Sibuya 2014. Effects of the inabenfide [4'-chloro-2'-(α-hydroxybenzyl)-isonicotinanilide] on the growth of rice grown in no tillage cultivation with single basal fertilization to the nursery box. Asian Journal of Crop Science 6: 354-361.
33.Adachi, Y., K. Kimura, M. Saigusa, T. Oyama, Y. Takahashi and H. Watanabe 2014.Growth promoting effect of L-β-phenyllactic acid on rice (Oryza sativa L.) seedling grown under polyethylene glycol (PEG)-induced water deficit condition. Plant Root 8: 64-71.
34.松下景・飯田修一・春原嘉弘・出田収・前田英郎・笹原英樹・長岡一朗・高橋能彦・渡邊肇 2015.葉色が淡くβ-カロテン含量が低いイネの突然変異系統の作出.日本作物学会紀事 84: 279-284.
35. Adachi, Y., M. Sugiyama, J.-I. Sakagami, A. Fukuda, M. Ohe and H. Watanabe 2015. Seed germination and coleoptile growth of new rice lines with adaptation to hypoxic conditions. Plant Production Science 18: 471-475.
36.千田野風生・韓東生・渡邊肇・高橋能彦 2015.デジタルカメラを利用した水稲群落葉色の評価法.日本作物学会紀事 84: 432-438.
37.Watanabe, H., Y. Adachi and M. Saigusa 2015. Synergistic effects of ethephon and gibberellin on the growth of rice seedlings grown under field and environmentally controlled conditions. Journal of Agronomy 14: 87-92.
38. 千田野風生・安達祐気・渡邊肇・韓東生・堀秀隆・高橋能彦 2016.鶏ふん炭化物混合有機質肥料の特性と水稲に対する施肥効果.日本土壌肥料学会雑誌 87: 201-204.
39. Watanabe H., Hoshino K. and Adachi, Y. 2016. Effects of poultry manure on soil solution electrical conductivity and early growth of Monochoria vaginalis. Plant Production Science 20: 67-71.
40.松下景・長岡一朗・笹原英樹・前田英郎・渡邊肇 2017.短穂性の発酵粗飼料用イネ品種「たちあやか」の総籾数におよぼす施肥法の影響.日本作物学会紀事 86: 35-40.
41. Chiba, M., Terao, T., Watanabe, H., Matsumura, O. and Takahashi, Y. 2017. Improvement in rice grain quality by deep-flood irrigation and the underlying mechanisms. Japan International Research Center for Agricultural Sciences (JARQ). 51: 107-116.
著書
伊藤豊彰・今 智穂美・渡邊肇・鈴木和美・三枝正彦 2007.冬期湛水・不耕起・有機栽培水田土壌の特徴.農業技術体系追録第18号,土壌管理の基本と応用,第5-巻,水田66:12-17頁.
渡邊肇・安達祐介 2010.湿地環境と作物 第5章 作物の冠水害・湿害のメカニズム.1節 冠水条件におけるイネの発芽期および幼植物期の応答と適応,116-123頁,養賢堂,東京.

学会活動

日本作物学会(評議員,和文誌編集委員),日本雑草学会(英文誌編集委員,第49回講演会副委員長),日本植物化学調節学会,日本土壌肥料学会,日本作物学会東北支部会(庶務幹事),根研究学会(評議員),日本土壌肥料学会東北支部(会計幹事),新潟県土壌肥料懇話会(常任理事),北陸作物・育種学会(幹事),日本水稲品質・食味研究会,日本種子生理生化学研究会(講演会運営委員)

社会活動

新潟市バイオマス利活用推進協議会委員
新潟米の栽培技術改善に関する意見交換会委員
新潟県環境保全型農業推進協議会 委員
新潟県特別栽培農産物認証制度運営委員会 委員長
新潟市田園資源活用計画検討委員会 委員長

その他特記事項