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平成28年度卒業式・修了式を執り行いました

2017-03-29

平成28年度卒業式・修了式を執り行いました

 

 

 3月22日(水)、秋田キャンパス講堂において、平成28年度卒業式が執り行われ、学部生384名、大学院生81名が新たなる決意と希望を胸に卒業・修了しました。
 小間学長は告辞の中で、「これからは自分の専門分野の進む方向をよく見極めることに加え、社会全体を変え可能性を持つICTの動向にも注意を向け、複眼的でしなやかな発想を駆使して活躍して欲しい」と卒業生・修了生を激励しました。
 また、卒業生・修了生代表のシステム科学技術学部 山科倫平さんは「今後、私たちが社会へ貢献できるよう責任と自信を持って、それぞれの目標に向かって精進します」と答辞を述べました。

 

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 【卒業式の様子】

   【卒業生・修了生代表答辞】

 

 【学長告辞全文】

 

 卒業生のご家族の皆様、ご来賓の皆様、本日は秋田県立大学の卒業式・大学院修了式にご出席いただき、まことに有難うございます。


 システム科学技術学部225名、生物資源科学部159名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。大学院システム科学技術研究科及び生物資源科学研究科において、後期課程を修了し博士の学位を得られた5名の皆さん、前期課程を修了し修士の学位を得られた76名の皆さん、修了を心からお祝いを申し上げます。また、今日まで学生・院生の皆さんを支えてこられたご家族の方に、大学を代表して心からお喜びを申し上げます。


 本日卒業ないし修了される皆さんは、これから社会人として、さまざまな分野で活躍されることになりますが、そのような皆さんに是非お話ししておきたいことがあります。現在社会は、今までにないスピードで変わりつつあります。それは、ICT、すなわち情報技術のハード、ソフトの両面での急速な進歩により、社会の仕組みが大きく変わる可能性がある、第4次産業革命が進行中であるからです。


 第4次産業革命は、個々の人間も物もすべてのものが、インターネットにつながり、その情報がAI、すなわち人工頭脳等で作られたサイバー空間に蓄積され、あるいはサイバー空間で超高速に処理した後、再び人間や物の現実世界に戻すことにより、さまざまな機能を実現しようという仕組みです。各国の政府が先導して、その実現に努力していますが、日本では、2016年に開始された「第5期科学技術基本計画」の中で、「Society 5.0」として強力に推進していくことになっています。


 第4次産業革命が、今まで人類が経験してきた産業革命と大きく違うのは、第一にその進展の速さにあります。情報技術のハードの中心である演算素子やメモリー素子は、IC、すなわち集積回路からできていますが、その集積度、すなわちおよそ5 ミリ角のシリコン基板上に乗っているトランジスタの数は、約1.5年ないし2年で2倍になるという、ムーアの経験則といわれるスピードで増大しています。集積度はそのまま性能に結びつきますが、IC の性能が、2年で2倍伸びるとすると、10年で32倍、20年で1000倍というスピードで増大することになります。トランジスタは1947年に発明され、1950年頃から実用に供されましたが、1950年にはトランジスタが1個だけだったのが、その20年後の1970年には、5ミリ角のシリコン基板上に1000個、更に20年後の1990年には百万個、更に20年後の2010 年には10億個のトランジスタが集積され、素子の性能は10億倍にもなりました。1つの素子の面積を微細化することで集積度を上げてきたIC は、いずれ限界を迎えると言われてきましたが、これ以上の微細化には頼らず、三次元に積層することで集積度を上げる試みが成功しつつあり、性能は依然として向上し続けています。これに加え、ハードを使いこなすソフトの効率性、すなわち性能も、ハードの性能向上に匹敵するくらいに進みつつありますので、情報機器の性能は、想像を絶するスピードで進んでいることになります。人類は、かつてこれほどのスピードで、機器の性能が上がる時代を経験したことはなく、今回の産業革命が今までとは次元の異なるさまざまな変化を社会に及ぼすと考えられている所以です。


 ICT の窮極であるAI の進歩により、そう遠くない将来、現在ある職業の半分程度を、人間に変わってAI が担えるようになるという予測があります。比較的繰り返し作業の多い工場労働者の仕事が、ロボットやAI に取って替わられる可能性については、多くの人が想像できるところです。事実、安い労働力を求めて、アジアの各国に展開していた工場を、再び日本に戻す動きが出てきました。ただし、再び日本に戻ってきた工場は、最新技術を駆使した自動化工場であり、必要とされる従業員の数は従来の工場よりはるかに少なくなっています。ここまでは早晩そうなるであろうと、多くの人が予想していたことですが、AI の進歩の速さを実感させたのは、チェスや将棋より、手の数が多く複雑なため、当分人間がコンピュータに負けることはないと思われていた囲碁の世界で、世界的な名人と対戦した、アルファ碁ソフトが4勝1敗で名人に勝ったというニュースでした。


 もっと驚くようなニュースは、物理法則の発見という、研究者にしかできないと思われていた仕事を、AI でもできることが実証されたことです。物体の運動に関する法則は、ケプラーやニュートンなどの研究者が、天体運動に関する詳細な観測結果を解析した結果、発見した法則でしたが、最近、運動の法則をまったく教えられていないAI コンピュータが、一つの振り子の先にもう一つの振り子をつけた二重振り子の運動を、ビデオカメラで記録して、極めて多数回の実験結果を集めて、ディープラーニングで解析した結果、ニュートンの運動法則を発見したという報告がありました。その時使われたプログラムはウェブ上に公開されており、その信憑性も確かめられています。物理法則の発見という、人間にしかできないと思われていたことまで、AI が人間に取って替わってできる段階に来たというのは、衝撃的な事実と言えます。


 これらの例からも、これからの社会においては、人間はどんな分野で、人間にしかできないことをやっていけば、人間としての存在価値を維持していけるのか、よく考えなければいけない時代がもうすぐそこに来ていることがお分かりだと思います。


 ICT の急速な進化が及ぼす社会の変化に関して少々厳しいお話しを致しましたが、理系の専門を修めた皆さんは、悲観的に捉える必要はまったくありません。皆さんは、それぞれの専門を修める中で、体系化した考え方の基本を学んでいます。また、現在言われていることが、定量的に考えて実現性が高いものであるのか、あるいは実現性に乏しい、単なる脅しに近いものなのかを、見極める力を持っているはずです。更に、本学では一貫して、問題発見、課題解決の能力を磨けるよう、さまざまな工夫をした教育を行ってきました。上述のような変化が速い社会で、最も活躍できるのは、まさに本学の教育を受けた皆さんのような人たちです。これからは、自分の専門分野の進む方向をよく見極めることに加え、社会全体を変える可能性を持つICT の動向にも注意を向け、複眼的でしなやかな発想を駆使して、それぞれの分野でこれから大いに活躍していただきたいと思います。


 最後になりましたが、秋田県立大学は、皆さんにとっての「母校」、すなわち卒業した大学であることはもちろんですが、もう一つ、皆さんにとっての母なる港の「母港」でもありたいと思っています。これから変化の激しい社会に出られて、迷ったり、あるいは相談したいと思うことが出てくると思います。その折は、是非本学を再び訪ねて、かつて教えてもらった先生からアドバイスを受けて下さい。本学は、在校生の皆さんから、先生と学生の距離が近い大学であるとの評価をいただいていますが、卒業後も皆さんに近い存在でありたいと、教職員一同が思っていることを忘れないで下さい。

 

 今日巣立っていく皆さんのこれからのご活躍を祈って、告辞と致します。


秋田県立大学 学長 小間 篤

 

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