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究テーマ

1,粘液ムチンの産生調節機構(阿部)

 腸管の内部は身体の外側です。腸管や気管支など身体が外界に直接触れる部分では粘液が上皮細胞の表面を覆い,粘膜上皮を外来異物による障害から守っています。粘液のおもな成分は杯(さかずき)細胞と呼ばれる特殊な細胞から分泌されるムチンという高分子物質です。生理的な状態で,粘液ムチンの分泌は神経支配を受けていることが分かっています。しかし,粘液ムチンの分泌調節が免疫系などによっても行われることが分かってきました。私たちは,ムチン産生の調節機構を分子レベルで調べています。腸管ムチンは大腸がんの予防に役立ちます。一方,気道ムチンの過剰分泌は喘息の悪化につながります。腸管と気道のムチンをうまくコントロールできれば,大腸がんや気管支喘息の予防や治療に役立つと考えられます。

2,細胞運動のメカニズム(村田)

 多くの動物細胞は身体の中で運動します。細胞の運動性は細胞の微細構造と収縮性タンパク質の種類によりいくつかに分類されます。その中で,アクチンが関与する細胞の運動性はアクチンの繊維構造,アクチン結合タンパク質,細胞接着因子などさまざまな要因に支配されています。私たちはがん細胞であるメラノーマ細胞と神経ペプチドα-MSHの系を使って,α-MSHによりがん細胞の運動性が抑制されるメカニズム,細胞運動に関わる情報伝達機構を分子レベルで解析しています。がん細胞の運動メカニズムを知ることは,がん治療を最も困難にしているがん転移の抑制に役立つと考えられます。

3,ヒストンデアセチラーゼ阻害による細胞機能変化(阿部)

 真核生物のDNAはヒストンタンパク質に巻きついて存在します。その基本単位をヌクレオソームと呼びます。多数のヌクレオソームが連なり,密に折りたたまれてクロマチンと呼ばれる染色体が構成されています。ヒストンタンパク質にはメチル化やアセチル化などの修飾を受ける位置がたくさんあります。遺伝子の発現調節には,クロマチン構造の変化と複数のヌクレオソーム形成ヒストンの修飾がコードとして認識されることが重要と考えられています。ヒストンの脱アセチル化酵素(ヒストンデアセチラーゼ)を阻害すると,多くの遺伝子の発現が変化することが分かっています。私たちはヒストンデアセチラーゼ阻害作用のある短鎖脂肪酸butyrate(CH3CH2CH2COO-)や放線菌由来trichostatin Aを中心にして,がん細胞の遺伝子発現と機能に与える影響を解析しています。これにより,がんの予防や治療に役立つ情報が得られると考えます。

4,細胞周期進行促進因子の解析(岩下)

 未成熟な卵母細胞が成熟して受精可能となるために,卵母細胞は厳密な細胞周期の調節を受けています。私たちはアフリカ ツメガエルの正常な卵成熟を進行させる因子が卵細胞の核質に存在することを見出しました。その細胞周期進行促進因子の性質を明らかにするために分子レベルの解析を行っています 。それによって,細胞周期進行の分子メカニズムを知り,不妊治療などに役立つ情報が得られればよいと思っています。

研究室の実験機器(共通機器含む)の写真です。

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