人類にとって有用な微生物、放線菌
放線菌は、土壌中に普遍的に生息している細菌です。この菌を他の細菌と同じようにシャーレの寒天培地で培養すると、一見カビに似た外観のコロニーを形成します。菌糸が中心から周辺に向かって放射状に伸びることから「放線菌」と呼ばれています。
放線菌は、抗生物質や免疫抑制剤、抗寄生虫薬など様々な有用物質を生産することが知られています。そのため、第二次大戦以降、高度に産業利用され、放線菌が作る様々な物質や、それらを化学的に改変した数多くの物質が、我々人類の生活を安全で豊かなものにしてきました。現在でも、放線菌は医薬を中心に数多くの有用物質の発酵生産に利用されています。
・Streptomyces griseus(ストレプトマイセス・グリゼウス) 結核の治療に用いられた抗生物質ストレプトマイシンを生産する ・Streptomyces kasugaensis(ストレプトマイセス・カスガエンシス) イネいもち病用農薬として広く利用されるカスガマイシンを生産する ・Streptomyces coelicolor(ストレプトマイセス・セリカラー) 抗菌性青色色素アクチノロージンを生産し、遺伝学的に研究されている ・Streptomyces avermitilis(ストレプトマイセス・エバミティリス) フィラリアに有効な抗寄生虫薬エバーメクチンを生産する |
Streptomyces kasugaensis
カスガマイシン |
Streptomyces coelicolor
アクチノロージン |
Streptomyces avermitilis
エバーメクチン |