2005〜2000年森林科学セミナー一覧

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 2005年
第44回
12.22.Thu
  ササはなぜ森林の林床で優占できるのか
   ・・・個体内の生理的統合に関する研究
森林総合研究所木曽試験地
齋藤 智之
第43回
11.17.Thu
  アメリカ合衆国における森林火災管理運営
国際教養大学
熊谷 嘉隆
第42回
10.21.Fri
  カモシカの生態と個体群管理
秋田県森林技術センター
長岐 昭彦
第41回
7.22.Fri
  温帯林におけるジャンゼン・コンネル仮説の検証
   ・・・親から遠くに散布された子供ほど生き残りやすいのか
東北大学大学院農学研究科
山崎 実希
第40回
6.17.Fri
  気温から算出される
   マツ枯れ拡大危険地域把握のための簡単な指数

森林総合研究所東北支所
中村 克典
第39回
5.27.Fri
  木曽赤沢ヒノキ林の構造と動態
森林総合研究所東北支所
星野 大介
第38回
4.21.Thu
  里山の自然
岐阜県立森林文化アカデミー
田端 英雄
第37回
3.17.Thu
  秋田県立大学森林科学講座 卒業研究報告会
秋田県立大学森林科学講座
藤原 光・持塚 陽子
下谷 卓也・山元 得江
第36回
2.18.Fri
  スギ天然更新林分の遺伝的構造
県立大学木材高度加工研究所
三嶋 賢太郎
第35回
1.20.Thu
  秋田県主要広葉樹二次林の種組成構造とフェノロジー
秋田県森林技術センター
和田 覚
 
 2004年
第34回
12.16.Thu
  亜高山帯性針葉樹の分布の及ぼす積雪の影響
   ・・・オオシラビソはなぜ雪山で優勢なのか
森林総合研究所 東北支所
杉田 久志
第33回
11.26.Fri
  ササの生態学
   ・・・その面白さと今後の課題
秋田県立大学
蒔田 明史
第32回
7.16.Fri
  森林昆虫の来し方をDNA解析で調べる
   ・・・スギカミキリとマツノマダラカミキリの個体群構造解析
森林総合研究所
加賀谷 悦子
第31回
6.25.Fri
  アオモリトドマツの繁殖をめぐる生物季節
森林総合研究所東北支所
関 剛
第30回
5.21.Fri
  オニグルミの繁殖生態学
   ・・・花粉の流れを探る
東北大学大学院農学研究科
(学振特別研究員)
木村 恵
第29回
4.22.Thu
  クマゲラの世界
秋田大学名誉教授
秋田県鳥類研究所長
小笠原 ロ
第28回
3.8.Mon
  秋田県立大学森林科学講座 卒業研究報告会
秋田県立大学森林科学講座
阿部 知行・高井 孝太郎
佐野 さやか・鈴木 由佳・星 千晶
第27回
1.22.Thu
  ブナ林の生物間相互作用とブナアオシャチホコの大発生
金沢大学理学部
鎌田 直人
 
 2003年
第26回
12.19.Fri
  雪国の森林を考える
    ・・・雪は森林にとって厄介者か?
山形大学農学部附属演習林
小野寺 弘道
第25回
11.27.Thu
  白神の自然生態系
    ・・・"自然災害"が作る多様性
弘前大学農学生命科学部付属
生物共生教育研究センター
牧田 肇
第24回
10.24.Fri
  冷温帯=ブナ帯といえるか
    ・・・森林の動態から考える
総合地球環境学研究所
中静 透
第23回
7.18.Fri
  秋田市の自然環境保全への取り組みについて
    ・・・市民活動計画のモデル事業
秋田市環境部環境保全課長
石塚 鈴雄
第22回
6.20.Fri
  ササ一斉枯死をきっかけとしたブナ林再生過程
秋田県立大学森林科学講座
客員研究員
阿部 みどり
第21回
5.26.Mon
  ブナ林の豊凶を予測する
山形大学農学部生物環境学科
地域環境講座
小山 浩正
第20回
4.28.Mon
  秋田県立大学 森林科学講座のめざすもの
秋田県立大学森林科学講座
小林一三・蒔田明史・星崎和彦
 
 2002年
第19回
11.14.Thu
  アマゾンからの伝言
NGO「熱帯森林保護団体」代表
南 研子
第18回
11.7.Thu
  秋田の林業の現状と森林を巡る
   ネットワーク形成の重要性について

秋田県由利総合農林事務所
林務課
佐藤 尚志
第17回
7.12.Fri
  熱帯樹木の生理生態
    ・・・季節のない熱帯雨林で樹木は何を思うのか?
北海道大学
北方生物圏フィールド科学センター
日本学術振興会特別研究員
市栄 智明
第16回
6.14.Fri
  1.「サルの温熱生態学」
  2.「ニホンザルの現状と農作物被害」
北海道大学
北方生物圏フィールド科学センター
揚妻 直樹
臨時
スペシャル
6.5.Wed
  日本列島におけるチガヤ2種の種分化の実態を探る
    ・・・今、秋田でチガヤを調査する理由
宮崎大学 農学部
西脇 亜也
鹿大連大
水口 亜樹
第15回
5.24.Fri
  角館のサクラを守る!
角館町教育委員会
黒坂 登
第14回
4.26.Fri
  東北地方におけるブナの豊凶の年変動
    ・・・ブナにとっての県境はどこか
森林総合研究所 東北支所
正木 隆
第13回
2.18.Mon
  米代川流域の天然秋田スギ林と
   人工林の生態系としての機能評価
県立大学学長プロジェクト
成果発表セミナー
第12回
1.24.Thu
  ブナ林の背腹性とその成因
新潟大学 農学部
本間 航介
 
 2001年
第11回
12.20.Thu
  乾燥地に生育する一年生植物の生活史戦略
秋田大学 教育文化学部
成田 憲二
第10回
12.6.Tue
  木材性質の遺伝特性
    ・・・遺伝子型及び生育環境効果の解析―
秋田県立大学
木材高度加工研究所
高田 克彦
第9回
7.19.Thu
  氷河期以降植生の垂直移動は、
    どのくらいのスケールで起きたことなのか
東北植生研究会
(元秋田県林務部参事)
越前谷 康
第8回
6.22. Fri
  森林伐採跡地の遷移に及ぼす草食家畜の放牧の影響
    ・・・森林極相地帯におけるシバ草原成立機構
独立行政法人
農業技術研究開発機構
東北農業研究センター
福田 栄紀
第7回
5.25. Fri
  Bambooの進化―熱帯から温帯へ
    :開花習性の変化をたどる
秋田県立大学 森林科学講座
蒔田 明史
第6回
1.25.Thu
  DNA分析を用いた森林構造の解明
東北大学大学院 農学研究科
陶山 佳久
 
 2000年
第5回
12.12.Tue
  『緑の防波堤』その実態と将来像を探る
    ・・・海岸防災林の現状と課題
秋田県森林技術センター
金子 智紀
第4回
11.16.Thu
  アキタスギの成長特性とその利用例
秋田県森林技術センター
澤田 智志
第3回
7.21. Fri
  自立循環型社会の再生を実践的に学ぶ場を創る
    ・・・林業と農業と住まいとまちづくりを繋ぐ
秋田県立大学
木材高度加工研究所
鈴木 保
第2回
6.16. Fri
  ブナ林のトチノキをめぐる
     種子食哺乳類と樹木の直接・間接の相互作用
秋田県立大学
流動研究員
星崎 和彦
第1回
5.19 Fri
  ササが枯れるとブナ林にどんな変化がおこるのか?
    ・・・十和田湖畔のブナ林における樹木とササとネズミの微妙な関係
新潟大学 農学部
箕口 秀夫・阿部 みどり
 
 
44
  ササはなぜ森林の林床で優占できるのか
    ・・・個体内の生理的統合に関する研究
  森林総合研究所木曽試験地
  齋藤 智之

ササ類は林床植物として国内に広く分布し高い被度で優占するため、更新の阻害要因として林業上および植生管理上非常に多く研究対象とされてきた。しかし、ササは地下茎を持つクローナル植物であるにもかかわらず、クローナル植物としての特性に着目した個体レベルの研究はほとんどない。
 クローナル植物における生理的統合とは個体内の地下茎で連結したラメット間での同化産物や栄養塩のやりとりのことである。林床の資源環境が不均質であればあるほど、生理的統合はササ個体にとって暗い林床に生育する上での重要な特性の一つと考えられる。そこでこれまでに行ってきたササにおける生理的統合の存在証明と、野外における生理的統合の実態研究について紹介します。

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43
  アメリカ合衆国における森林火災管理運営
  国際教養大学
  熊谷 嘉隆

アメリカ合衆国で年間発生する林野火災は平均10万回を数え、そのうちのいくつかは大規模な森林火災に拡大し、火災発生地域の建造物や人命に甚大な被害を与えている。 またそれら大規模森林火災への消火活動にも毎年莫大な予算がつぎ込まれており、この傾向に歯止めをかけるべく様々な研究・施策が農務省Forest Serviceによってなされてきた。 本講義ではForest Serviceを中心とした林野火災における生物学的、社会学的研究の一端を紹介する。

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42
  カモシカの生態と個体群管理
  秋田県森林技術センター
  長岐 昭彦

今日、カモシカはたびたび人の居住地付近にまで現れますが、昔は皮や肉を目当てに捕獲され絶滅寸前まで激減したため、めったに会えない珍獣でした。 どうして、こんなに数が増えたのでしょう。要因の1つは、特別天然記念物への指定な ど手厚い保護政策です。 さらに、昭和40年代にスギ、ヒノキを大面積に植林し たことも1つの要因と考えられています。植林地は、植えた苗木以外にも多くの 植物が繁茂し、草食動物のカモシカにとって良好な餌場になるからです。 では、カモシカの個体数を餌植物の量によりコントロールすることは可能でしょうか? 今回はカモシカの生態を紹介しながら、個体群を管理できる方法を一緒に考えてみたいと思います。

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41
  温帯林におけるジャンゼン・コンネル仮説の検証
    ・・・親から遠くに散布された子供ほど生き残りやすいのか
  東北大学大学院農学研究科
  山崎 実希

 森林には多くの種類の樹木が共存しています。熱帯林では、このような多種共存のメカニズムはジャンゼン・コンネルの仮説で説明される場合が多くあります。 ジャンゼン・コンネル仮説とは以下のようなものです。親木の下ではその種に特異的な植食者や病原菌が多く、その種子や実生の死亡率が高くなります。したがって、稚樹は親木から離れて分布し、親と子の間に空間が生まれてそこに他の種が定着することによって森林の種多様性が促されるというものです。 近年、温帯林においてもこの仮説が成立することが北米や日本のいくつかの種で報告され始めています。今回は、日本の冷温帯の主要樹種8種でこの仮説の検証を行った実験と野外調査の結果についてご報告致します。

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40
  気温から算出される
   マツ枯れ拡大危険地域把握のための簡単な指数

  森林総合研究所東北支所
  中村 克典

 秋田県でも猛威をふるっている松くい虫(マツ材線虫病)の被害は、かつて、冷涼な東北地方では激化しないと考えられていました。 この激害は一体どこまで北上するのでしょうか?この問いは、気温の低下により材線虫病の勢いが弱まる地域に防衛線をはって被害を食い止める、という防除戦略から見ても重大な意味を持っています。
 今回のセミナーでは,気温から算出される簡単な指数によりマツ枯れ被害拡大危険地域を推定し、「メッシュ気候値」やGISを導入してこれを広域に把握できるようにした研究について紹介します。

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39
  木曽赤沢ヒノキ林の構造と動態
  森林総合研究所東北支所
  星野 大介

 長野県木曽谷には、秋田スギ、青森ヒバとともに日本三大美林のひとつと称される、木曽ヒノキ天然林があります。 その代表的森林である赤沢ヒノキ林では下層にヒバの近縁種であるアスナロが優占しているため、ヒノキ林の将来が危ぶまれています。 このような森林の将来を推測するには、森林内に固定調査区を設けて、定期的に調査することが有効です。
 今回は200m×200mの調査区で、10年間の追跡調査した結果から、この森林がどのような構造にあるのか、そしてどのように変化しつつあるのか、明らかになったことをお話したいと思います。

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38
  里山の自然
  岐阜県立森林文化アカデミー
  田端 英雄

 人里近くにあり、人の関与によって成り立ってきた里山に、非常に貴重な生物相がみられることが近年明らかになってきている。 しかし、人々の生活様式が変化し、人が山に手を入れなくなって以来、 「山が荒れる」といった様々な問題が里山には見られるようになっている。
 今回のセミナーでは、こうした里山の問題に詳しい田端さんにご来秋いただき、 里山の価値やその現状についてお話しいただき、 我々が身近な自然とどうつき合っていけばよいのかを考えてみたい。 また、林業や木質エネルギーなどの問題にも触れていただき、今後の森林資源のあり方についても議論したい。 さらには、ユニークな存在として全国的に注目されている岐阜県立森林文化アカデミーについてもご紹介いただく予定である。

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37
  秋田県立大学森林科学講座 卒業研究報告会
  秋田県立大学 森林科学講座
  藤原 光・持塚 陽子
  下谷 卓也・山元 得江

 
仁鮒水沢スギ植物群落保護林のブナの分布状況と将来展望
藤原 光
 
チシマザザの一斉開花枯死後の植生変化について
持塚 陽子
 
大規模な撹乱がオオシラビソ林の更新に与える影響
下谷 卓也
 
餌の質がアカネズミの体重推移に与える影響
山元 得江
 
 今回は、本年度最終回として、県立大学森林科学講座4年生諸君の卒業研究の 報告会とさせていただきます。すでに学内発表会は終わっておりますが、 彼らの1年間の成果を通じて、森林科学講座で取り組んでいる問題等についての ご意見などもお聞かせいただければと存じます。

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36
  スギ天然更新林分の遺伝的構造
  県立大学木材高度加工研究所
  三嶋 賢太郎

 スギ天然林の更新には、実生による更新のみならず、伏条・立条更新と呼ばれる無性繁殖が 大きな役割を果たしていると考えられています。 特に、日本海側の多雪地域では下枝が毎年の雪圧の影響を受けて地面に接し、伏条化することが知られています。
では、実際のスギ天然林では、実生による更新と伏条・立条更新はそれぞれどの程度おこっているのでしょうか? また、伏条・立条更新に起因する無性繁殖個体の塊(ジェネット)はどれくらいの広がりをもっているのでしょうか? 今回は、これらのことについてDNA分析と野外調査を行うことによって明らかになったことを話したいと思います。

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35
  秋田県主要広葉樹二次林の種組成構造とフェノロジー
  秋田県森林技術センター
  和田 覚

 秋田県は比較的温暖で湿潤な気候にあり、落葉広葉樹林に代表される豊かな森林を育んでいます。 広葉樹林は気候風土に合わせるかのように、新緑、紅葉、落葉と変化し、 人々の生活に季節感と彩りを与えてくれますが、林内ではこうした現象がどう働いているのでしょうか。 おそらく階層間、植物間では光の獲得に向けた時間的、空間的な棲み分けがなされているものと考えられます。 広葉樹林のほとんどは、人為的な関わりもと二次林として存在し、コナラ、ミズナラ、ブナを主体とします。 これらは近縁種でありながらしばしば混生もしますが、マクロに見れば標高に応じて分布を異にします。 こうした主要二次林の分布や構造の特徴を、優占種の開葉等の季節的な現象(フェノロジー)の中から探って見たいと思います。

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34
  亜高山帯性針葉樹の分布に及ぼす積雪の影響
    ・・・オオシラビソはなぜ雪山で優勢なのか
  森林総合研究所 東北支所
  杉田 久志

 日本は世界有数の多雪地帯です。 そして、多雪な日本海側山地と少雪な太平洋側山地とが対照的です。 この積雪環境のちがいに対応して両地域の亜高山帯針葉樹林の構成種が異なっていることは、 古くから知られています。 しかし、積雪が多くなるとなぜコメツガ、シラビソが劣勢になり、オオシラビソが優勢になるのか、 そのメカニズムは明らかにされていません。
 私は、積雪環境下における針葉樹の更新初期段階に注目して検討を進めています。 稚樹の定着場所、定着場所による実生生残過程のちがい、積雪下の温度環境、 種子・実生を脅かす菌害との関連から、その謎について考えてみたいと思います。

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33
  ササの生態学
    ・・・その面白さと今後の課題
  秋田県立大学 森林科学講座
  蒔田 明史

 ササは日本の冷温帯から亜高山帯にかけての森林植生において重要な生態学的地位をしめる植物である。 植林の際に、苗木の生長を阻害する植物として問題になってきたこともあり、 古くから林学での調査例は多いが、まとまった研究は多くはなかった。
 私は、「一斉開花性」という特異的なササの生活史特性に注目し、 大面積にわたって一斉枯死したササがその後どのように回復するのか、 というササの更新過程に関する研究を行ってきた。
 今回の発表では、これまでに取り組んできたいくつかのトピックスについて簡単に紹介する。 その上で、植生動態に対するササ枯死の影響や「個体性」という観点からササの一生を考える上で、 今後の取り組むべき研究課題についてお話ししたい。
「ササの生態の不思議さ」を皆さんも共有していただき、議論を深めていただければと思う。

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32
  森林昆虫の来し方をDNA解析で調べる
    ・・・スギカミキリとマツノマダラカミキリの個体群構造解析
  森林総合研究所
  加賀谷 悦子

 スギカミキリはスギやヒノキの材質劣化害虫であり、マツノマダラカミキリはマツ材線虫病をもたらす極めて重要な森林害虫です。
この2種はともに日本の土着の種ながら、その生息域の拡大の様式は大きく異なります。 スギカミキリが最終氷期以降、スギなどの宿主の分布拡大とともにじっくりじっくりと分布を広げたのに対し、 マツノマダラカミキリはマツノザイセンチュウが日本へ移入してからの約100年で急速に拡散したと考えられます。
これらのカミキリムシのDNAには、たどってきた歴史が刻まれているのでしょうか?
最新の研究成果をご紹介します。

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31
  アオモリトドマツの繁殖をめぐる生物季節
  森林総合研究所東北支所
  関 剛

 アオモリトドマツ(オオシラビソ、モロビ)は亜高山帯に生育する、モミの仲間の針葉樹です。 種子で繁殖しますが、種子は頑丈な球果の中で成熟します。 球果が雌花から成熟した大きさになるのは1ヶ月あまりです。
 私達が生活している温帯と比べると夏が短い亜高山帯。 その短い夏の間に繁殖をめぐる現象がどのように進行しているのかを、樹冠での観察をもとに紹介 します。

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30
  オニグルミの繁殖生態学
    ・・・花粉の流れを探る
  東北大学大学院農学研究科
  学振特別研究員
  木村 恵

 今、緑色の実をつけたオニグルミの木がある。鈴なりのクルミの実。 どこから飛んできた花粉で結実したのだろうか。 枝も触れあわんばかりの隣の木が怪しそうだが、向こうの大きく立派なオニグルミも疑わしい。 いや、待てよ。もしかしたら自個体の花粉で結実したってことはないだろうか?
 その答えを知るため、DNAマーカーの1つであるマイクロサテライトマーカーを用いてオニグルミの種子の花粉親探し(父性解析)を行いました。 雌雄異花同株植物で風媒という特徴を持つオニグルミは、 1つの集団内に「雌花を先に咲かせて、その後に雄花を開花させる個体(雌性先熟個体)」とその逆で「まず雄花を開花させ、 その後に雌花が開花する個体(雄性先熟個体)」の両方が存在する「ヘテロダイコガミー」という変わった開花様式を示します。 このような開花様式はオニグルミの花粉流動にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。 野外調査とDNAマーカーによって判ること。 樹木間の距離や、雄花の開花量、開花のタイミングなど、オニグルミの花粉流動に影響を与える様々な要因について調べた結果をお話しします。

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29
  クマゲラの世界
  秋田大学名誉教授
  秋田県鳥類研究所 所長
  小笠原 ロ

 赤い頭に真っ黒い体。ブナ自然林にすむ日本最大のキツツキ、クマゲラ。 今回のセミナーでは、クマゲラ研究の第一人者である小笠原氏においでいただき、 行動様式や声紋分析など貴重な研究成果をもとに、クマゲラの生態についてお話しいただく。
森吉山やドイツでの調査結果をもとに、日本産とヨーロッパ産の違いや、 クマゲラの現状とその保護のあり方についても触れていただく。
クマゲラの姿に触れながら、白神山地や森吉山など秋田県の貴重なブナ林の保護にも考えてみたい。

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28
  秋田県立大学森林科学講座 卒業研究報告会
  秋田県立大学森林科学講座
  阿部 知行・高井 孝太郎
  佐野 さやか・鈴木 由佳・星 千晶

秋田県スギの天然更新に関する研究
・・・下種更新と伏条更新の役割
阿部 知行
 
同化産物の多少がブナ堅果の胚の発達に与える影響
・・・結実当年の同化産物と枝先に貯蔵された同化産物の貢献度
高井 孝太郎
 
秋田県天王町の海岸砂丘地に植栽されたクロマツ林と広葉樹林の構造と機能
佐野 さやか
 
東北地方におけるフキの性表現と繁殖戦略
鈴木 由佳
 
フン分析から推定した八森町周辺に生息するニホンザル(Maccaca fuscata)の食性
星 千晶
 
 今回は、本年度最終回として、県立大学森林科学講座4年生諸君の卒業研究の 報告会とさせていただきます。すでに学内発表会は終わっておりますが、 彼らの1年間の成果を通じて、森林科学講座で取り組んでいる問題等についての ご意見などもお聞かせいただければと存じます。

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27
  ブナ林の生物間相互作用とブナアオシャチホコの大発生
  金沢大学理学部
  鎌田 直人

 冷温帯多雪地域の極相林であるブナ林でも、しばしば昆虫が大発生する。 蛾の仲間である葉食性昆虫ブナアオシャチホコは、約10年の間隔で大発生を繰り返してきた。 本当に「虫は湧く」のだろうか?大発生しても、なぜいつのまにかいなくなってしまうのだろうか? 昆虫の大発生は、ブナにとっては迷惑なできごとなのだろうか?
 天敵の働きやブナの防御など、生物間の相互作用や、気候の影響から、 ブナアオシャチホコの大発生の秘密を解き明かしていく。

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26
  雪国の森林を考える
    ・・・雪は森林にとって厄介者か?
  山形大学農学部附属演習林
  小野寺 弘道

 わが国は世界有数の豪雪国であり、かつ森林率67%という森林国である。 日本海側の季節風に伴う豪雪は世界の気候帯から見てもかなり特異な存在であり、 北緯40度以南の平地でこれほどの降雪量を見出すことはできない。 北海道、東北、北陸地方では最大積雪深の平年値は1mを超え、秋田、山形、 新潟の山地では4mを超えるところも珍しくない。
 さらに世界的にみて特異なことは、このような豪雪地帯に集落が形成されており、 しかも、人工造林が実行されていることである。わが国の人工林率は実に41%にも達するが、 このような国は世界広しといえども恐らく日本だけであろう。
 しかし、この高い人工林率の陰には当初期待した通りには育っていない森林がかなり含まれている。 かつての拡大造林の後、豪雪地帯では森林雪害が増大しており、 今後の森林や林業を考える際には雪を無視することができない状況にある。 雪の環境は森林を良好に育てる条件も、その生育を制限したり阻害する条件も有しており多様である。 したがって、雪国では、積雪環境の優位性を考慮し、 森林を良好に育てる条件を引き出すことが大切なのではないだろうか。 そのためには、雪の多様な環境についての理解を深め、雪と森林の相互作用についての 知識を深める必要がある。果たして雪は森林にとって雪害を発生させる厄介者なのか、 それとも恵みなのか、一緒に考えてみませんか。

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25
  白神の自然生態系
    ・・・"自然災害"が作る多様性
  弘前大学農学生命科学部付属
  生物共生教育研究センター
  牧田 肇

 当然のことですが、ある現象に対する人間の評価が、人間以外の自然物、 つまり動植物や岩石や土壌などに当てはまるとは限りません。 たとえば、山の山頂は風が強く、冬季雪が積もりません。 そのうえ、気温が低いので土壌の凍結が起こりがちです。 こういった環境を、我々は「厳しい」とか「劣悪な」環境と、つい言ってしまいます。 しかしこういう環境は、これに耐えられる生物にとっては、耐えられない競争相手が入ってこられないので、 大変有利な条件です。劣悪どころではありません。 そして、生態系全体にとっては、このような環境があることは、そこに住むことのできる特別な生物の一団が 生育しうること、つまり種の多様性を増やすことになります。
 白神山地の自然生態系は、ブナ林で代表されます。 しかし、もちろんブナ林だけで山地全体が覆われているだけでなく、いろいろな植物群落があり、 それらそれぞれに依存する動物の群集が生活しています。
 そのような多様性を作り出しているのは、白神山地の場合、基本的には「地すべり」と「多雪」に 要約されるでしょう。ことに、地すべりの作る急斜面と多雪の結果できる「雪崩」斜面は、 白神山地の生態系に、独特の性格を与えています。
 地滑りも雪崩も、人間生活に深刻な被害をもたらす自然災害です。 しかし、白神山地の中心部には人が住んでいませんから、それらは「災害」にはなり得ません。 地滑りや雪崩は白神山地にあっては、自然生態系を特徴づけ、種の多様性を維持する重要な機能なのです。

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24
  冷温帯=ブナ帯といえるか
    ・・・森林の動態から考える
  総合地球環境学研究所
  中静 透

 日本の冷温帯はブナ帯ともよばれるように、ブナ林が代表的極相林だと考えられている。 しかし、太平洋側の、とくに標高が低く積雪量(あるいは冬季の雨量)が少ない場所では、 ブナはもともと多くなく、ナラ類を中心とした森林であったと考えられる。 この植生帯は、ふるくから中間温帯あるいは暖温帯落葉広葉樹林とよばれたものに近いが、 世界的に考えるとブナ林より一般性の高い温帯落葉広葉樹林であり、 その成立には山火事の影響が強いと考えられる。 また、ブナ自身の個体群維持には積雪環境がいろいろな意味でプラスに働いていて、 日本海側のブナ林は一年中湿潤で多雪な環境下に成立する、 温帯林としては特殊な森林であると考えるべきである。

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23
  秋田市の自然環境保全への取り組みについて
    ・・・市民活動計画のモデル事業
  秋田市環境部環境保全課長
  石塚 鈴雄

 今回は秋田市環境部環境保全課長の石塚さんをお招きして、 秋田市の自然環境保全への取り組みについてお話しいただく。
「しあわせ実感 緑の健康文化都市」を基本理念とする秋田市では、今年3月、新たな「自然環境保全条例」を策定した。 この条例では、自然環境保全地区の指定など優れた自然環境の保全を目指す"従来型"の保全行政と共に、 市民等が一定区域内で自然環境保全のための自主的な活動計画(市民活動計画)を策定し、 市がそれを認定するという、市民・行政が一体となった新たな形の自然環境保全活動を推進しようとしている。
本セミナーでは、この条例を中心に秋田市の取り組みを紹介いただき、守るべき「自然環境」とは何なのか、 また、自然環境保全に対して、住民・市民、また、研究者や学生はどう取り組むべきなのか等について、 皆さんと共に考えてみたいと思います。

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  ササ一斉枯死をきっかけとしたブナ林再生過程
  秋田県立大学森林科学講座
  客員研究員
  阿部 みどり

 この春、新潟大学大学院から秋田県立大学に客員研究員として公式の居候(?)になりました。 私は学部4年生の頃から十和田湖畔のブナ林で調査をしていますが、 研究のメインテーマは生物間相互作用が森林群落に与える影響を定量化することです。 具体的には、植物−植物、および、動物−植物の関係が、どのように作用しあいながら樹木の更新に 影響を与えているのかということを定量化することです。 動物は野ネズミを、植物はササとブナなどの樹木を対象に調査しています。
ササは、長い栄養成長段階を経た後、大面積にわたり一斉に開花枯死するという特異的な生活史をもちます。 ササが林床を優占するブナ林では、ササ一斉枯死後に樹木が一斉更新することで 森林群落が維持されていると考えられてきました。しかし、私が行ったササ一斉枯死後のモニタリングの結果から、 植物間、および、動植物間相互作用が複雑に働くことで、 ササ一斉枯死直後の更新をきわめて限定的にしていることがわかってきました。
ササ型林床を持つブナ林の群落構造がいかにして決定づけられるのかを、生物的・非生物的要因の両面から解説します。

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  ブナ林の豊凶を予測する
  山形大学農学部生物環境学科
  域環境講座
  小山 浩正

 ブナ林はわが国を代表する森林景観ですが、その再生・更新技術は必ずしも確立していません。 更新を促進するには、ササなどの林床植生を除いて土壌を裸出させる「地表処理」が有効とされていますが、 それだけでは確実性に乏しいのが現状です。なぜならば、ブナは結実年が不定期で年間で著しい豊凶差があるので、 地表処理のタイミングが豊作年に合わなければ更新不可能だからです。 したがって、豊凶を的確に予測できれば、地表処理実施の可否を判断できるので、 ブナ林の再生はもっと効率良くなると期待できます。 ブナの豊凶予測は、その他にもクマなどの野生生物の行動や被害の予測にも活用できると思われます。 今回のセミナーでは、ブナの北限地域にあたる北海道渡島半島で行った開花結実調査の結果を紹介し、 これにより開発したブナの豊凶予測手法を紹介します。具体的なトピックは以下の通りです。
1)ブナ林が豊作になる条件
2)1年後の豊凶を予測する手法
3)2年後の凶作を予測する手法
4)トラップ無しで何処でも予測する手法について

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  秋田県立大学 森林科学講座のめざすもの
  秋田県立大学森林科学講座
  小林一三・蒔田明史・星崎和彦

 早いもので、県立大学も開学4年を過ぎ、3月には一期生が卒業した。 本セミナーでは、これまで様々な分野の方に話題提供をしていただき、 多数の参加者を得て、充実した時間をもてたと自負している。 講師としてお話を伺いたい方はまだまだたくさんいらっしゃるが、 ここらで一度、私たち自身の行っていること、考えていることを 皆さんに聞いてもらう機会をもつ必要があるのではないかと考えた。 振り返ってみれば、4年間はあっという間に過ぎ去ったように思う。 そして、そろそろしっかりと足を地に付けて、研究・教育・社会活動を 一層発展させなければならない時期である。 秋田県にある"ちっぽけな"森林科学講座で何ができるのか、何をなすべきなのか? 私たちの行っている研究活動の紹介と共に、「環境」や「自然」に対する私たちの考え方などをお話し、 これからの「道」を考えていきたいと思う。ぜひ多数の方が共に議論に参加していただけることを期待します。

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  アマゾンからの伝言
  NGO「熱帯森林保護団体」代表
  南 研子

 地球の約3分の1の酸素を作るアマゾンの熱帯林。 現在その熱帯林が人為的影響により減少の傾向にあるのは御存知でしょうか? その事が私たちの日常生活と全くの無関係ではないことを御存知でしょうか?
 アマゾンの熱帯林、そこに暮らす様々な生き物、そしてそこに暮らす人間(先住民インデイオ)、 それらの織り成す豊かな生態系。1989年にアマゾンと出会った南さんは アマゾンのシビアな現状を知り、支援活動を行うべくNGO「熱帯森林保護団体」を設立され、 現在まで13年間支援活動を行い、17回にわたりアマゾンに赴いておられます。 南研子さんは現在最もアマゾンを愛している日本人の1人であると言えるのではないでしょうか。
 今回の講演では、アマゾンの熱帯雨林とそこに住む先住民インデイオの現状、 支援活動の内容についてスライドを交えてわかり易くお話して頂く予定です。

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  秋田の林業の現状と森林を巡る
    ネットワーク形成の重要性について

  秋田県由利総合農林事務所林務課
  佐藤 尚志

 秋田スギという全国的ブランドをもち、林業県として名を馳せたきた秋田県ではあるが、 近年の林業不振の中、その将来は決して安閑とはしていられない。 しかし、その一方、環境への意識の高まりもあり、自然や森に対する人々の意識は着実に変わりつつある。
秋田の林業の現状はどうなのか?私たちはこれからどのように森と関わっていけばよいのか? そんなことを考えるきっかけになればと思い、今回のセミナーを企画した。 講師の佐藤さんは、今年発足した「環鳥海・未来の森林(もり)プラットフォーム(※)」の中心人物のお一人で、 森を巡るネットワークづくりに尽力されている。今回の講演では、秋田林業の現状を概観していただいた後、 プラットフォームの立ち上げに至る経緯や活動を紹介いただきながら、 ネットワーク形成のもつ意味についてお話しいただく。 今回のセミナーをきっかけに、少しでも多くの人が森を巡るネットワーキングに参加されることを期待したい。

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  熱帯樹木の生理生態
    ・・・季節のない熱帯雨林で樹木は何を思うのか?
  北大北方生物圏フィールド科学センター
  日本学術振興会特別研究員
  市栄 智明

 一年中温暖・多雨な環境にある熱帯雨林。そこは樹木にとって最適な環境であると言えるのだろうか? そして、樹高50mを越える熱帯雨林の林冠部において、樹木はどのような生活を行っているのか? このセミナーでは、熱帯雨林の樹木の光合成や水利用、展葉や繁殖に対する資源投資など、 その生理生態的特性から熱帯樹木の生存戦略について考察する。

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  1.サルの温熱生態学
  2.ニホンザルの現状と農作物被害
  北大北方生物圏フィールド科学センター
  揚妻 直樹

1.サルの温熱生態学
 動物園の猿山などでもサルがダラダラとひなたぼっこをしている姿をよく目にする。 日の光を浴びながらボーっとしてたり、毛づくろいしている姿を見て、「サルは気楽でいいな」と 感じた人も多いだろう。しかし、サルの生態と気温の関係を知れば、 そのひなたぼっこに秘められたサルの切実な事情を理解することができるはずである。
2.ニホンザルの現状と農作物被害
 昔は秋田県全域に生息していたニホンザル。今では、ほとんどが絶滅してしまい、 白神山地に残存しているのみである。この白神個体群は最近になり、ようやく生息地を 回復させてきた。しかし、そこには高齢者が耕す農耕地が広がっていた。 サルの現在・過去・未来を通してサルの農作物被害を考える。

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SP
  日本列島におけるチガヤ2種の種分化の実態を探る
    ・・・今、秋田でチガヤを調査する理由
  宮崎大学 農学部  西脇 亜也
  鹿大連大  水口 亜樹

 近縁な2種が同所的に分布する時、直接的な自然淘汰によって生殖的隔離が強化される現象がある。 同胞種の共存理由を知るため、ニッチ分化の地理的変異を検討したところ、強化の結果と判断される ニッチシフトを確認した。
多年生イネ科草本であるチガヤには、早咲きのE型と遅咲きのC型が認められ、宮崎平野では両型間に 交配隔離が生じており、E型をストレス耐性種、C型を競争種とみなすことが妥当であった。
 昨年、このチガヤ2種の共存様式を知るため、沖縄から北海道まで調査した結果、 種子島以南と青森以北を除く多くの地域で耐性種と競争種とが同所的に分布していた。 生育立地と開花時期は異なっており、2種の分布する地域での表層土壌の気相率には 明瞭な差が存在していた。耐性種の分布する土壌の多くは気相率が10%以下であるが、 競争種では 20%以上であった。アロザイム分析の結果、ほとんど全ての集団で両種間に交配隔離が 生じていることが示された。しかし、競争種の北限域であると思われる秋田では極めて高い率で雑種が 生じていた。両種の開花時期の違いは、分布限界域では不明瞭であった。競争種の分布しない 青森以北では、秋田以南に比べて耐性種の生息地が変化していた。 すなわち、低湿地の粘土ではなく、黒ボク土や砂壌土などの通常は競争種が生息する土壌に生育していた。 これらの結果は、ワラス効果のような分断性淘汰によって両種間の交配隔離が強化されていることを 強く示唆する。
 では、雑種が形成されている地域(北東北と鹿児島の一部)では遺伝子流動は どうなっているのか?雑種ははたして繁殖能力を持っているのか(交配後繁殖隔離機構の発達は?)? なぜヘテロ個体の割合が高いのか?これらを明らかにするには、開花・結実期に花粉捻性や結実率などの 繁殖特性を調査する必要がある。そのため、今回、東北縦断チガヤ採取を行っている。

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  角館のサクラを守る!
  角館町教育委員会 (樹木医)
  黒 坂 登

 天然記念物「角館のシダレザクラ」、名勝「檜木内川堤(サクラ)」とサクラに関わる二つの 国指定文化財を有する角館町には、東北有数のサクラの名所として100万人以上の観光客が訪れる。 サクラの花期は短い。人々はほんの1,2週間のサクラの花を愛でるために集うが、 そのサクラを維持するためには、年間を通じた努力が続けられている。 今回の講師黒坂さんはその中枢として活躍されている方であり、また、樹木医として専門的にサクラの 保護に取り組んでおられる。
今回のセミナーでは、角館のサクラの現状と保護管理の実際についてお話しいただく。 また、近年行われた檜木内川堤のサクラと角館のシダレザクラの現況調査や管理計画策定事業、 今後計画されている樹勢回復事業についても紹介する。

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  東北地方におけるブナの豊凶の年変動
    ・・・ブナにとっての県境はどこか
  森林総合研究所東北支所
  正木 隆

 ブナは昔から、5〜8年に一度、広域で同時に結実する、と言われている。 しかし、その実態はよくわかっていない。一体何年間隔で結実するのか? その同調する広さはどのくらいか?これを知ることは、ブナ林の保全に役立ち、 鳥獣被害(あるいは保護)対策にも貢献する。
 わが研究所は国有林の協力のもと、1989年以来東北地方(青森、岩手、秋田、宮城、山形)の ブナの結実の実態を調べてきた。その結果、ブナの意外な結実パターンが浮かび上がりつつある。 今回はその成果の一端をご紹介したい。

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  米代川流域の天然秋田スギ林と
   人工林の生態系としての機能評価

  県立大学学長プロジェクト
  成果発表セミナー

 天然秋田スギは日本三大美林の一つにあげられ、米代川流域はその中心産地として良く知られている。 なかでも、「仁鮒水沢天然秋田スギ林」は、樹高50m級のスギが林立しており、 他に類を見ない雄大な森林である。本研究はこのような秋田スギ林の現況を明らかにし、 その生態系機能に関する基礎的情報を得ることを目的としている。こうした情報に基づいて、 スギ林の望ましい将来像を模索することは、秋田県にとって重要な課題であろう。 研究はまだ端緒に着いたところであるが、本年度は樹齢250年を越す天然林と植栽後36年目の 人工林に調査地を設置し、林分の状況や土壌・水、土壌微生物の機能などの比較検討を進めている。 今回のセミナーでは現在までに得られている知見の一部を紹介し、 今後の研究の発展についての議論を行いたい。
[プログラム]
 1.秋田におけるスギ林研究の意義
     プロジェクト代表 小林一三(森林科学講座)
 2.天然秋田スギ林と人工林の林分構造と動態
  1) 植栽後40年のスギ人工林の構造
  2) 仁鮒水沢天然秋田スギ林の構造と20年間の動態
     森林科学講座一同・澤田智志(秋田県森林技術センター)・
     佐藤賢一(東北森林管理局)
 3.田代沢国有林のスギ林を流れる沢水の水質について
     片野 登(大気・水圏環境学講座)
 4.天然スギ林と人工スギ林土壌の化学性と微生物活性ポテンシャル
     佐藤孝・高橋正・佐藤敦(土壌環境学講座)
 5.総合討論 −今後の展望

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  ブナ林の背腹性とその成因
  新潟大学農学部
  本間  航介

 日本のブナ林植生には、種組成やブナの個体群構造・生理特性など様々な面で、 太平洋側と日本海側とでの明瞭な分化が見られる。このことを日本列島スケールでの 背腹性と呼ぶ。この背腹性の存在やそれが冬季北西季節風のもたらす積雪環境の 地理変異と相関を持つことはこれまでの多数の研究で現象論的に示されてきた。
しかし、積雪環境がブナ林の生態特性に影響を与えるメカニズムは充分に明らかにされてきたとはいえない。
 そこで、今回の発表では、ブナ林の背腹性の成因に関する従来の仮説を検証すると共に、 ブナ林植生における地理変異の中で最も中心的課題である「日本海側にはブナの純林、 太平洋側にはブナの優占度が低い混交林が分布する」という現象について積雪環境との 因果関係を調べた結果についてまとめたい。

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  乾燥地に生育する一年生植物の生活史戦略
  秋田大学・教育文化学部
  成田 憲二

 一般に乾燥地は高温、乾燥により生物の生育に適さない季節と不定期に訪れる降雨によって もたらされる短い生育期がある。 動物のように移動できない植物は生育不適な季節に耐性を持つか、 種子や地下茎としてこの時期を避ける戦略をとっており、 温帯地域ではみられないユニークな生態を持つものが多い。
後者の代表である一年生植物のBlepharis sindica(キツネノマゴ科)は枯死した後、 木化した枯死体が種子をつけたまま数年間地上に立ち続け、 何度かの降雨に対応して少しずつ種子を散布していた。
 本セミナーでは、特に種子特性を中心に乾燥地環境への適応という面から話題を提供したい。

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  木材性質の遺伝特性
    ・・・遺伝子型及び生育環境効果の解析
  秋田県立大学
  木材高度加工研究所
  高田 克彦

 木材は永らく人類の文明にとって最も重要な原材料であった。 一方、現在では木材の永続的な利用は保証されている訳ではなく、 全ての木材利用に対して好ましい(或いはコストパフォーマンスの高い) 代替原材料があると言っても過言ではない。 しかしながらこれらの大多数の代替原材料は化石燃料そのものか化石燃料から 得られるエネルギーを必要とする。21世紀の地球環境保全を真剣に考えるならば、 今一度、森林からの恵みである木材の利用を見直す必要があろう。
 森林から得られる木材を効率的に利用するためには、木材の基本的な性質を理解し、 その変動特性を把握することが重要である。 木材の性質は当該種苗の遺伝子型及び生育環境の影響を受けて変動する。 この関係を式化すると、以下のように表すことができる。
  P=G+E+GE
   P: phenotypic value(表現型値)
   G: the genotypic effect(遺伝子型効果)
   E: an environmental effect(生育環境効果)
   GE: an effect due to genotype×environment interaction
     (遺伝子型と生育環境の交互作用による効果)
 本セミナーでは、(1)木材の基本的な性質について概説すると共に、上記の式が意味するところの理解を基にして、 (2)林木(特に針葉樹)を対象にした木材性質の変動に関する具体的な研究事例を紹介したい。

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9
  氷河期以降植生の垂直移動は、
    どのくらいのスケールで起きたことなのか
  東北植生研究会
  (元秋田県林務部参事)
  越前谷 康

 氷河時代亜寒帯林や森林ツンドラで覆われていた植生が、温暖化に伴い水平・垂直的に移動し、 今日の植生が存在している。このため我国の準固有・固有種であるスギとヒノキアスナロの 亜高山帯等での分布、雪田要素であるチングルマの山地帯岩壁での分布、 風穴植生の分布など現存する植生を手がかりに、 レフュージアとしての意味と植生移動について考えてみる。 (案内作成者注;レフュージア,生物の分布域が狭められた時期の退避場所となった地域)。

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8
  森林伐採跡地の遷移に及ぼす草食家畜の放牧の影響
    ・・・森林極相地帯におけるシバ草原成立機構
  独立行政法人
  農業技術研究開発機構
  東北農業研究センター
  福田 栄紀

 樹種により葉中の採食防御物質タンニンの含量が大きく異なること、 また畜種によりタンニン含量に対する採食反応が大きく異なることの二つが、 放牧条件下の森林伐採跡地の木本類の生残、さらにはその植物群集全体の 遷移に大きな影響を及ぼすことが明らかになった。 また、草食家畜は採食、排糞、踏圧という3つの機能を発揮することによって各々、 木の抑圧と、草原性植物の侵入、発芽定着の促進を図り、 森林極相地帯の伐採跡地の植生をシバ草原へ偏向させる機能を持ち、 わが国のシバ草原の成立に深く関与していることが実証された。

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7
  Bambooの進化―熱帯から温帯へ
   :開花習性の変化をたどる

  秋田県立大学森林科学講座
  蒔田 明史

 「♪♪会津磐梯山は宝の山よ〜、山に黄金があ〜あなり下がる♪♪」 民謡にも歌われているササの一斉開花結実。これはタケササ類の生活史特性の 大きな特徴の一つである。しかし、タケは世界的に分布している植物群であるが、 その開花習性は決して一様ではない。 とりわけ、熱帯地方に分布しているタケと温帯に生育するタケササ類とでは、 その形態、群落構造、開花習性など著しい違いが見られる。
 演者はこれまでササの一斉開花を巡る問題をテーマに研究を続けてきたが、 その蓄積をもとに、開花習性とクローナル特性(地下茎による広がり方など)に注目しながら、 熱帯のタケと温帯のタケを比較することにより、Bambooの進化について考えてみたい。

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6
  DNA分析を用いた森林構造の解明
  東北大学大学院農学研究科
  陶山 佳久

 最近、DNAの「指紋」を検出する新しい手法が開発され、野外生態系の構造解析に 盛んに用いられるようになってきた。とりわけ、地下茎などで平面的な広がりをもつ クローナル植物では、従来は固体の広がりを確認することが困難であったが、 この手法を用いることにより、これまで「隠されていた構造」を解析することができるようになった。
 今回のセミナーでは、この分野で活発に研究を進められている陶山さんをお迎えして、 新たな手法を用いた森林構造の解明方法について解説していただく。

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5
  『緑の防波堤』その実態と将来像を探る
    ・・・海岸防災林の現状と課題
  秋田県森林技術センター
  金子 智紀

 秋田県の海岸防災林は、マツのザイセンチュウ病や砂浜の消失など多くの問題を抱えている。 特に、マツ枯れによる保安機能の低下は、地域住民の生活環境に直接影響を及ぼすため この修復・復元技術が喫緊の課題となっており、本来の自然植生(広葉樹)を活用した修復技術の 可能性を探る。
一方、都市近郊部に位置する大規模な砂防林では、従来の保安機能に加えて、 レクレーションなど保健休養に対する要請が高まっており、こうしたニーズに対する砂防林のあり方・ 管理方法を検討するため、クロマツの密度管理、生育実態や潮風害の影響範囲による地帯区分について 話題提供したい。

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4
  アキタスギの成長特性とその利用例
  秋田県森林技術センター
  澤田 智志

 秋田スギは日本の3大美林の1つに数え上げられるほど有名であり、 古くから地域の経済を支えてきた。 江戸時代にはすでに佐竹藩によってスギの植林が奨励されていた記録も残されており、 秋田地方ではスギが唯一の用材生産を目指した樹種として造林が行われてきた。
 この秋田スギの生長特性を把握するために、 県内のスギ高齢林で林分調査とともに樹幹解析によって単木当たりの生長傾向を分析し、 既存の秋田県民有林収穫表と比較したその解析結果を紹介する。
 また、原木市場における秋田スギ丸太の価格調査を行い、 他の産地のスギ材との比較や、秋田スギ製品の利用例について紹介する。

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3
  自立循環型社会の再生を実践的に学ぶ場を創る
    ・・・林業と農業と住まいとまちづくりを繋ぐ
  秋田県立大学 木材高度加工研究所
  鈴木 保

 21世紀に向けて、「破局のシナリオ」を回避し、「持続のシナリオ」を実現するための具体的方策を秋田で考える。  林業と農業、山、田畑、人家がすぐ近くににある風景、 人の営みが長い時間をかけて自然の営みとともにつくりあげてきた田園風景・ 伝統的な木造住宅と「共生と循環」という自然界の基本原理との関係・ その今日的意義、そして、地球温暖化等の環境問題を念頭においた実践的な地域での 自立循環型社会の構築についてのお考えを披露してもらう。
講義後の活発な議論を期待したい。

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2
  ブナ林のトチノキをめぐる
    種子食哺乳類と樹木の直接・間接の相互作用
  秋田県立大学 流動研究員
  星崎 和彦

 ブナが卓越的に優占する奥羽山系の森林で、 ブナ・トチノキに共通な捕食者であるネズミの個体数の年変動がトチノキの更新動態に 及ぼす直接・間接の影響について研究した。
まず、トチノキの種子・実生へのネズミによる強い捕食圧とそれに対するトチノキの適応的反応を明らかにした。 またネズミとの関係を貯食型種子散布という相補的な視点で捉えると、 トチノキはネズミの貯食行動によって個体群内の分散を達成していた。
そして、2種の結実の豊凶とネズミ類個体群の6年間の変動パターンから、 植物の餌としての質と動物の食性が相互に関連して樹木の個体群動態に複雑な年変動が生ずることを指摘する。

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1
  ササが枯れるとブナ林にどんな変化がおこるのか?
    ・・・十和田湖畔のブナ林における
        樹木とササとネズミの微妙な関係
  新潟大学 農学部
  箕口 秀夫・阿部 みどり

 1995年、十和田湖南岸域約10数平方キロに渡って、チシマザサが一斉に開花し 枯れた。林床を被っていたササの消失により、林内環境は一変した。 60年とか、100年に一度と言われるササの一斉開花はブナ林にどんな変化をもたらすのか。
現在、十和田湖の発荷峠近くのブナ林に1haの調査地が設けられ、ササ枯れ後 のブナ林の動態に関する共同研究が進められている。
 今回のセミナーでは、このプロジェクトの中心メンバーである箕口さん、阿部さんをお招きし、 樹木実生の発生状況や野ネズミ個体群の動態などの調査結果を基に、 ササ枯れ後のブナ林を舞台として繰り広げられる樹木とササと動物の相互関係について報告いただき、 ブナ林の長期的な動態について考えてみたい。

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・・・問い合わせ先・・・

秋田県立大学
生物資源科学部 生物環境科学科 森林科学講座
〒010-0195 秋田県秋田市下新城中野 Fax:018-872-1677

星崎 Tel:018-872-1608
蒔田 Tel:018-872-1619
小林 Tel:018-872-1618

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