固有値分解

計算

Aがn × n の正方行列のとき、n 次のベクトルv と、スカラーλ をつかって
Av = λv
となるv とλ をみつけたい。
つまり、Aをv で内積をとることで変換してやると、
そのv のスカラーλ倍におとしこむことができたとする。

もしそうなら
(A-λI) v = 0
これでv = 0 のとき以外のことを考えるなら、
det(A-λI) = 0
となる必用がある。これをみたすλ を探すことになる。

またv はλの数だけみつかる。
一意には決まらないのだが、各成分の二乗和を1にしてやることで
(ベクトルなので符号はひっくり返ることがあるものの)数字はきまる。
このλを固有値(eigenvalue)、v を固有ベクトル(eigenvector)という。

λを大きさの順で並べ替え、これを対角にする対角ベクトルをつくる。
また対応するv を同順で列にして行列 V をつくる。
すると
AV = VΛ そこで
A = VΛV-1 これをA の固有値分解という。

A が正規であるとき

もしA がn × n の正規行列であるとき、
つまりA*A = AA* であるときのこと。
n 個だけ見つかるであろうλについて、
(おそらく)A-λI はそれぞれ独立である(直行する)。
またそれぞれのv も独立になる。
n =2のときの証明はここに。
すると V*V = I である。それぞれのvが独立だから、
異なるvの内積は0になって、さらに二乗和が1になるから、
対角成分が1の対角行列(つまり単位行列)になるからだ。
V*VV-1 = IV-1
なので、このときV はユニタリ行列である。
Aが正規行列のときに限って
A = VΛV* がなりたつ。

解釈

これはいくつか(も)ある行列の分解のひとつである。
正直なところ、よくこんなこと思いつくなあと感心する。数学者って貴い。ありがたい。

さて正規行列だけど、適当な行列XをX*XなりXX*
内積とってやれば、つくることができる。結果が対称行列になるからだ。

X*X = VΛV*
XX* = UΛU*

この変換から、これはいま作った正規行列を、(回転を表す)ユニタリ行列と、
(大きさを表す)対角行列に分解できることがわかる。
大きさが共通することに注目。行列としては次元が違うのだけど、
要は、X の行なり列なり、少ない方の数だけ、λは求まる。
あとは原理的にゼロである。

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